「山びこ通信」2012/6月号より、ラテン語クラスの様子をお伝えします。(以下転載)
『ラテン語初級講読C 』(担当:前川裕)
このクラスでは、セネカ『ルキリウスヘの手紙(倫理書簡集)』を継続して読んでいます。今学期は第43書簡から読み進めています。受講生はお二人で、準備時間や力量を考慮しつつ、適宜書簡を選択して読んでいます。授業では本文を読んで訳をするというオーソドックスなスタイルです。音読をすることで、母音の長短に体で慣れていくことも意識しています。また基本的な文法事項を随時チェックしながら、知識を確認しています。内容についての話も深めながら、意見交換をしています。お二人とも京都市外から来られていますが、予習をされて山の学校まで通われています。
セネカの書簡は、まるで現代に書かれたかのように読めるところすらあります。第44書簡には「人はどこから来たかではなくどこへ行くかで決まる」という言葉が見られます。当時のローマで重んじられていた家系や出自を重んじる社会に対して、個人の価値を重視した言葉ということができます。全ての人が未来に開かれている言葉として、山の学校にふさわしいものだと思います。
この授業では、一回につきロウブ(ラテン語原文)のテキストで16行程度を1時間弱で読みます。80分の授業時間ですと少し余りますが、そこではおまけの話をしています。西洋古典に関する日本語書籍や洋書の紹介や、ラテン語の周りの話をしています。ラテン語やローマ時代に関する書籍類については、山の学校の蔵書にもなっていますのでご自由にご覧ください。
次学期も引き続きセネカの予定です。初級講読は、初級文法修了程度(独学でも構いません)でご参加でき、参加者に合わせた進度で進めます。興味を持たれた方はぜひご連絡ください。
(前川 裕)