「山びこ通信」2012/11月号より、ラテン語クラスの様子をお伝えします。(以下転載)
『ラテン語入門』『ラテン語講読(中級) 』(担当:広川直幸)
入門では,Hans H. Ørberg, Lingua Latina II: Roma aeternaを教科書にしてラテン語を学び続けている.今学期で四年目に入った.一回に100行進むことを目標にしながら,今は第44課を学んでいる.授業名はラテン語入門のままにしてあるが,内容は講読とあまり変わらない.学習者に配慮して読みやすく書き改められたLiviusを読みながらラテン語とローマ史を学んでいる.もうすぐServius Tulliusの治世が終わり,かなり手強い練習問題が始まる.読解中心の教科書で学んでいると,語形態の正確な分析がおろそかになりがちなので,必要に応じて,曲用・活用の復習をしてもらいたい.
中級講読では,前学期まで読んでいたウェルギリウスの『アイネーイス』を一旦中止して,今学期から人文主義の父と呼ばれるペトラルカの『わが秘密』(SECRETUM)を読み始めた.ルネサンスの人文主義者は古典期のラテン語への回帰運動を起こし,殊にキケローを模範としたので,ペトラルカのラテン語も古典期のラテン語を知っていれば大体読むことができるが,ペトラルカはルネサンス初期の人なのでまだ中世ラテン語の名残を多く留めており,その辺りがまた面白い.ルネサンスの人文主義(umanesimo)とは何だったのか,あるいは人文主義の人間(uomo)とは何だったのかという疑問を心の片隅に持ちながら,しばらくペトラルカを読み続ける予定である.
(広川直幸)