ことば6年(マウントとジョージのお話)その6

「その5」からの続きです。 次はKちゃんの番です。

二人は落ちた紙をすぐひろって広げてみると、中にはこう書いてあった。

「おれはきっともうすぐ殺される。だからその前にここに書き記しておこう。見てしまったんだ。殺人現場を。一人の男がじゅうをもっていて、もう一人は助けて、だれにも言いませんから、とかさけんでいた。勝手なすい理だけど、なにか大事なことを知られちゃったのかもしれない。殺された人は、まったく知らない人で、じゅうでうった人は、黒いめがねと白い布で顔をおおっていたから、だれかは分からない。でもその事件があってからそいつにつけられてるんだ。だからきっともうすぐ殺される。あとはたのんだ。はんにんをつかまえてくれ。」

「何これ、い書?」
「っていうかこんな何もしょうこないのに、はんにんつかまえて、なんて無理でしょ。」
するとお店の人が
「あいつ、そんなこと早く説明しろよ!」
といって泣き出した。
「それにしても、黒いめがね白い布って何だろ?」
「あっサングラスに、マスクじゃない? やった! ひらめいたよ、マウント!」
「…サングラス? なんですか? それ。」
お店の人は首をかしげている。するとマウントが、
「確かに、この街で全然見かけないなぁ。パリなのに。もしこの時代にないものなんだったら、もっていたら不自然でおかしい。はん人が見つかるかもしれない。」
と言った。
「またマウントが全部言っちゃって。」
ジョージは少しきげんが悪そうだったが、そう査を始めることにした。
とりあえず店を出て街を見ていたが、ふとマウントは、
「サングラスを持っているってことは自分たちと同じように未来から来た人かも。」
そう思った。
(Kちゃん)

【コメント】
手紙の内容に「きっともうすぐ殺される」と二回強調して書いてあるのが、手紙の書き手の焦りをあらわしていて、真に迫っていると思いました。

そして、黒いめがねと白い布。マスクはあったかもしれないのですが、サングラスはその歴史を調べたところ、大量製品として一般大衆の手に届くようになったのは1920年代以降だということが分かりました。マウントたちがタイムスリップ(?)した時代がそれよりも前、たとえばパリ万博のあった1900年あたりだとすると、ちょうどつじつまが合うということでした。時代考証ですね。

「その7」へ続く。