ことば1年A

福西です。
今週の11回目の記録です。

目には青葉 山ほととぎす 初がつを  素堂
かたつぶり そろそろのぼれ 富士の山 一茶
大螢 ゆらりゆらりと 通りけり    一茶
昼見れば 首筋赤き ほたる哉  芭蕉

この4首のおさらいをした後、そのうちの好きな2つを書き取りしました。ひたむきに原稿用紙のマス目を1つずつ埋めていく努力には感心しました。そして「この花まるは価値が高い」という達成感を味わってもらえたように思います。1句写すだけでも大変なので、前もって「ひらがなで書いてください」と言うと、案の定「漢字で書きたい!」という生徒も出てきたので、それも許しました。

その後で、しりとりマラソンをしました。
この間は、「うらぐち」で終わったので、「ち」からです。

「ちきゅう!」「ちくわ!」「ち(血)!」「ちそう(地層)!」「父の日!」…などなど。父の日が出て、みんなは何をしたのかという話にもなりました。プレゼントを上げたり、お父さんを中心に家族で野球をしたという人もいました。この日は7つほど進んで、ゴールまで残すところあと4つとなりました。○→○→○→○→ゴールです。ちなみに最後の単語は「ご」で終わる必要があります。うまくいくかどうか、来週のお楽しみですね。

素話は『山父のさとり』という話をしました。
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ある冬の寒い朝に、早起きした桶屋が桶を作る仕事をしていると、山の上から一本足、一つ目、毛むくじゃらの大男が駆けてきて、桶屋の前にたたずみます。

「その化け物って、(この後の展開で)桶屋を食べない?」
「うん、最後は逃げていくから」
「ああ、よかった」

と、Y.Yu君とK.R君は特に「怖い物アンテナ」を立てながら聞いていました。大丈夫と分かると、また話の輪に入ってくれます。そこで「山父って、知ってるで。山にいるんや」とT.R君が言えば、「じゃあ、このお山にもいてはるんかな」とK.R君とO.Yu君。Iちゃんは目を見開いて聞いています。「ずしーん、ずしーんって、きはったらどうしようね(笑)。だから、今からやっつけ方をよーく聞いておいてや」と私。

山父はじっと仕事を見ているので、桶屋は、(これがうわさに聞く山父というものかな)と、心の中で思います。すると「おい桶屋。お前は今、『これがうわさに聞く山父というものだな』と思っただろう」と言います。桶屋はびっくりして、「心をさとられるのか」と思うと、また「お前は今『心をさとられる』と思っただろう」という具合に、桶屋が思うことはその都度言い当てられてしまいます。

「ところでみんな、『さとる』って分かる?」
「分からへん」
「心を読まれて、今何を思っているのか、ばれてしまうこと。ほら、今○○君は~と思ってるな、とか」
「読まんといて。どうせ当たってへんし」
「でも、山父は本当に分かってしまうよ~…」
「じゃあ、逃げようと思っても、『あ、今左に逃げようとしたな』と分かって、先回りされてしまうんか?」
「その通り。そんなのにもし出会ったらどうしよう?」

さて、桶屋がほとほと困っていたところ、冬のことなので手がかじかんでいて、「たが」をしめていた手が滑ってしまいます。たがの先が山父の顔に飛んでいって「パシン」と当たると、これには山父もびっくりして、「人間というものは、考えもしないことをするから怖い、怖い」と言って、また山の上に帰って行ったそうです。(囲炉裏の薪がはぜるバージョンもありますね)

ちょうどここで時間とあいなりました。