ことば6年(マウントとジョージのお話)その5

「その4」からの続きです。 次はYsの番です。

 カランカラン。二人はその古着屋に入った。中はしーんとしている。品も少なく、くもの巣まで張っているボロボロの店だ。
ジョージが、
「だれかいますかー。」
と言った。反応なし。
「だれもいないみたい。」
「うーん。」
とマウント。
しばらくして、店の奥の方から一人の男の人がでてきた。
「あれっ」
ジョージが何か気づいた。
「あの人もしかして前に魔法をおしえてくれた人じゃない。」
「えー。うっそー。」
「本当だって、信じろよ。」
マウントも確かめるために男の人を見た。
「マジでそうかも。」
マウントも思った。早速、マウントは声をかけることにした。
「あ、あのーすみません。もしかして、ぼくらに魔法を教えてくれた方ですか?」
すると、男は答えた。
「いや、人違いです。」
この答えに二人はくびをかしげた。
「じゃあ、だれやろ?」
ジョージがぼそっとつぶやいた。しばらく間があった後、男は口を開いた。
「あっもしかしてそれ、私(わたくし)の弟かもしれません。ぼくと弟は双子でして。」
「あっー。そうでしたか。で、今もお店続けていらっしゃるのですか?」
「はい。そうです。しかし、私(わたくし)と一緒にこの店を営んでいた相方が死んでしまったので、もうこの店はじきにしめるつもりです。」
「もしかして、その相方とは、この方ですか?」
ジョージが事件現場でとった写真を見せて問いつめる。
「あぁそうです。あぁなんでなんだ。あぁ」
男が泣きそうになりながら答える。すると、マウントが、
「あなたの相方が残した、ダイニングメッセージには赤で短パンと書いてありました。このお店には赤の短パンはありますか。」
と最後の質問をした。
「ありますけど、一着か二着ほどです。」
「見せていただけますか。」
「は、はい。」
マウントはにやついた。男が、赤の短パンを二着もってきた。マウントとジョージに一着ずつわたすと、二人は何か手がかりになるものをさがしはじめた。ヒラッ。ジョージの赤の短パンから何らかの紙が落ちた。二人はそれを見て、ニヤッと目を合わせた。
(Ys君)

「その6」へ続く。