フランス語入門(文法クラス)の様子を、山びこ通信(2011/2月号)より転載いたします。
『フランス語入門』 (担当:上尾真道)
フランス語の学習の過程には、いくつかぶつかりやすい壁があります。その第一は、秋学期の際に書いた通り、まず発音とつづり字の関係の習得です。なにしろ、カタカナで考えている限りはまったく身につかないような新しい音と向き合わなければならないので、これは並大抵のことではありません。さてその次に出会うであろう壁は何であろうかといえば、おそらく動詞の活用でしょう。
まずフランス語では、一人称、二人称、三人称の単数・複数の別に従い、主語が六つのカテゴリーに分かれます。日本語話者の私たちにとっては、まず「主語」の人称性というのは、実はわかりにくいことであろうと思います。主語を省略することはしょっちゅうですし、さらに一人称にしてみたところで、「私」、「僕」、「わし」、「俺」などなどなど山のようにあります。また、二人称でも、普段、私たちは相手を名前で呼ぶことのほうが多く、「あなた」や「君」などはそれほど使うことも少ないのではないでしょうか。フランス語を使えるようになることを目標としておくならば、まずはこの人称に関する感覚の違いを意識し、それを変えようと心がけることも重要でしょう。
さらに、フランス語の動詞は、一つの時制につき、この六つのカテゴリーに応じた六つの活用の形があります。法則に則って導き出せるものもありますが、不規則で、いちいち細かく覚えていかなければならないものも多く、ここで根を上げてしまう人も多そうです。乗り越えるひとつのコツは、目と頭だけに頼るのではなく、声と音で馴染んでいくというものです。特に重要な動詞であればあるほど、それだけ頻繁に使用することになるのですから、口をついて出てくるくらい繰り返し声に出して読んでおくことが大事です。こうして口で活用を覚えつつ、上で述べたように、適切な主語がぱっと選べるようになれば、フランス語で話をするための大事な一歩が踏み出せたということになろうかと思います。
(上尾真道)