福西です。
1/19の授業の記録です。
このクラスでは、Bクラスと同じ推理クイズ(『以心伝心?』)をしてから、残り30~40分を使って、百人一首で『源平合戦』をしました。一言で言えば、ふつうの百人一首(お散らし)を、きちんとならべた版です。
遊び方は、源氏と平氏に分かれ、自陣に札を五十枚ずつ並べます。それを取り合って、先に自陣の札(50枚)をなくした方が勝ち、というゲームです。敵陣の札を取ると、そのままでは敵が一枚減って得するので、そこは自陣から相手に一枚「送る」ということをして調整します(それで自陣が一枚減るのと同じことになります)。あと、自陣の札は互いに自分たちが見やすい向きに並べられます(これで相手からは少し見えにくくなります)。ルールらしいルールといえば、これぐらいです。ちなみに、お手つきは公式ルールとは違って「一回休み」ということにしました。
源平合戦はもちろん普通の百人一首をしたことのない生徒もいたので、唐突で難しいかなということを心配したのですが、幸いにもそれは杞憂でした。よかったです。1年生だからか、よく一つのことだけに集中して真剣に向き合ってくれたので、むしろ感心しました。
歌は、上の句は雰囲気を出すために一応読んで、下の句を「普通に」+「書いてある通りに」二回読みしました。Ryo君は、上の句が切れると「次やで!」と、味方のY君に注意を喚起していました。もちろんそれでIちゃんとRi君も集中します。四人が四方から一生懸命聞き耳を立てている光景は、おごそかにも感じられました。
さて、Iちゃんがのっけから3連続で札を取って、「つ、強い…」という戦慄が、男の子三人の脳裏をかけめぐりました。Iちゃんは目がよくて、手つきが華麗です。それに負けじと三人も。Ryo君とY君は字を判読するのが早いです。ただY君は残念ながら立って見回っているのが少しハンディでした。Ri君は最後まであきらめないガッツで食い入るように見回っていました。これが後々利いてきたりします。
さて、敵陣の札を取った時、誰かが「なるべくお手つきしやすい札を送ろう」ということを思いつきました。そうなんです。送りの札は、どれを送ってもいいのです。たとえば「ひと」ではじまる札はとても多いので、それを送ると相手は混乱しやすいという作戦です。逆に、「送り」を利用して、同じ頭文字の札を自陣に集めておくという手もあります。(これにいつ気付くかというのも、勝敗を左右するようです)
ちょっと札を取るのに慣れてきた様子だったので、途中から「送り」のルールを次のように少しいじりました。
「自分の陣地は取りやすいので、取ったら1枚減るというのは今まで通り。でも相手の陣地から取ったら、それは難易度が高いことなので、2枚相手の陣地に送れる」と。
2枚送ると、自陣からは2枚減り、敵陣には差し引き1枚増えます。上下3枚かわる計算なので、これは大きいです。(1枚ずつだとどうしても決着を見るまでに時間がかかってしまうので、いわゆる加速ルールです。ただ後から思うと、やはり気長に取り合いながら、終盤の競り合いを楽しむのが源平合戦らしいと分かりました)
二人いるので自然と、一人は最初から敵陣の札を狙う「攻撃」(これがダメージが大きいので、当然狙った方がいいわけです)を、もう一人は逆に相手にそれをされないように自陣を見張る「防御」役を担うようになりました。またまたRyo君が「Y君、防御頼むな!」と号令を出しているのが面白かったです。Y君も「よっしゃ」と、まるでイージス(盾)になりきっていました(笑)。こういう連係プレーがとても麗しいです。
さて、ほかにもドラマが見られました。Iちゃんがお手付きをしてしまって、同じチームで動けるのがR君一人になってしまいました。相手は二人がかりです。でもこの圧倒的に不利な状況で、「Ri君がんばれ!」という応援がIちゃんから。そして0.1秒の逡巡の(これかな?という)差で、Ryo君の手よりも早く、Ri君の手が下に滑り込んで取ったのでした。それも相手の陣からだったので、大ダメージ! というわけで、Ri君、男前!
このようにしながら、わいわい、パシパシ取って行きました。途中経過では、Ryo君&Y君チームが10枚ほど優勢で、「やったあ」と言っていたのですが、ルールを途中でいじったせいもあり、その差がすぐにつまってしまいました。ごめん、Ryo君とY君…それで最後はというと、
源氏 Y君&Ryo君 残り27枚
平氏 Iちゃん&Ri君 残り25枚
となって、平氏が2枚優勢という逆転の結果になりました。(源氏側がかなりそれでへこんだのも無理はありません–;)
しかし、しかしです! これで終わりにしては、あまりに途中入れたルールが悪いので(本当にごめん…その方が面白いと思ったもので–;)、来週、この続きからはじめようと思います。つまり本当のルール通りの「0枚にした方が本当の勝ち」というわけです。(ルールはもちろんノーマルに戻しておきます)
実は源平合戦は、「最後の一枚」を取るのが非常に難しいゲームなのです。それについては、この後の2年生のことばの記事に書きますので、ぜひそちらもあわせてご覧ください。
こうして読むと、日本の伝統的な遊びは奥が深いものだとあらためて感じますね。子どもたちが無理なく溶け込んでいる様子が窺えて頼もしささえ感じます。この時期にこういう遊びを経験できることはすばらしいです。