『青春ライブ授業!』第8回目(2004年10月29日)(『山びこ通信』2004.12月号より転載)
題名:『ライブ・アラスカ!』
講師:松本紀生
夏は無人島の自然やクジラを、冬はマッキンリーのオーロラを十年近くも撮り続けている方が、今回の講師でした。
オーロラとマッキンリーの山とが同時に写せるポイントは「おそらくここだけ」という無人の雪原。そこで唯一、キャンプ地を設営する姿の映像が、印象的でした。
その松本さんにとっては、将来に迷う時期にふと手にした星野道夫の写真集が、アラスカ行きのきっかけであったそうです。
しかし最初から、カメラの腕も、英語も、現地の交渉も、無人島や雪山での生活も、オールグリーンになってから、飛行機に乗ったというわけでは決してなく、そのほとんどが、後から身に着いて来たのだという点に、とてもスケールの大きな勉強を感じました。
中高生からも、質問がよく出されていました。感想の中にも見られますが、めいめいの心のスクリーンに、何か自分と響き合うイメージが駆け巡っていたようです。
この場を設けるスタッフとしても、中高生たちが生き生きと、将来への希望を吹き込まれている姿を見、とてもうれしく思える時間でした。
(レポート・福西亮馬)
─参加者の感想─
- 最後のオーロラが一番でした。どれもやさしい色で、ただ驚くばかりでした。アラスカの中でまわり一面雪に覆われた場所と一年中緑の場所があるなんて思わなかったので驚きました。今までアラスカのイメージというとひたすら雪ばかりだと思っていたので、イメージが一変しました。森の中の写真を見たら、「これが人間の手が加えられていない森なんだなあ」と思いました。「ふかふかのコケの上で寝てみたい! 気持ちいいだろうなあ」と、コケが好きなので思ってしまいました。オーロラを見ていて思ったことは、「吸い込まれそう」と「誰かが地球を持っていくための風呂敷みたい」ということでした。(中3)
- 凶暴そうなクマがあんなにかわいい表情を見せるなんて驚きました。冬の夜のマッキンリー山は、なんだか地球じゃないみたいでした。同じ風景なのにあんなに表情が変わるのは見事でした。もともと自然だったところに人間が入ったり住んだりするには、人間側に遠慮や配慮、気遣いが必要なんだなあと感じました。大自然や富士山の二倍の高さのあるマッキンリー山を見ていたら、人間のちっぽけさが身にしみた反面、「写真」という機械から生まれる松本さんのアラスカへの愛情と風景や動物の素晴らしさが合わさってとても感動しました。松本さんのように、大人に近づいてから夢中になれるものを見つけられて、「それ以外考えられない」と話されるのを聞いて、じっくりと、打ち込めるものを見極めて生きたいと思いました。松本さんへのメッセージ:松本さんの写真の中で私が一番好きなのは、夕日をバックにザトウクジラの尾がちらっと見えてる、少し切ないような写真です。今ごろも胸びれや尾ひれを、水面に打ち付けたり飛んだりしていると思うと、自然の力と、さびしさみたいなものを感じました。(高1)
- クマがサケを取っている映像が一番心に残った。クマはすぐにサケを取れると思っていたのにあまり取れなかったのでびっくりした。松本さんが一人で二ヶ月も無人島にいるのがすごいと思った。(中1)
- やっぱりオーロラの写真がすごいきれいで最高だった。見た時、ため息が出るほど驚きました。写真を見ていて、星空がとてもきれいなのに驚き、それと同時に行ってみたいという気持ちが生まれてきました。僕はかなり宇宙というか星というのが好きなんです。いわゆる天文学のほうに興味がありましてですね。ですからああいう星空はとても見たいです。ですので、いつか行けるようならやはり行ってみたいですね。(高1)
- 氷のブロックで作られたろうそくで、作ったインテリアみたいなものが、とても幻想的で印象的だった。-40℃という極寒の地だが雪一面の景色を一度見てみたいと思った。松本さんへのメッセージ:(おしっこが凍らないことについて)液体は固体に比べてかなり冷えにくい(気体は、もっと冷えにくい)ので、しかも放射熱が膜を作ってさらに冷えにくくなるのでなかなか凍らないのだと思います。(高1)