ことば5~6年(木曜日)

福西です。4/15(初回)の記録です。

このクラスでは、昨年度から予告していた『壁新聞作り』に取りかかりました。自分の興味や考えを、相手にわかってほしいと思うときに文章を書くことは、「ことば」を磨く勉強になります。それを応援したいと思って(以前は「推理クイズ」がそれに当たりましたが)新しく始めました。正直昨年度はこうした取り組みはまだ早いと思っていましたが、今は五・六年生だからこそできると考えています。

まず最初にいくつか壁新聞の例を見せてイメージしてもらいました。そして第一号は三人で分担して、軌道に乗ってくれば各自が一枚の新聞を発行することにすることを説明すると、「やった!その方がいい」と、やる気満々な様子を見せてくれました。でも最初なので手始めにということで、今のやる気を温存してもらうことにしました。

次にどんな記事にすればよいかを考えてもらいました。私がもし書くのだったら…という前提で、ことわざ、漢字、都道府県、戦国武将、現代のロボットのニュース、図書館で借りた本の紹介などを新聞にしてみたいと例に出しました。

壁新聞で最初うまくいくコツは、「本当に自分が好きだ思えること」を探して、その気持ちに正直に書くことです。よくあるのは、だんだん気持ちが入りすぎて、「ここにこういう記事があったら映えるだろうなあ」と、それほど自分の気持ちを確かめずに見出しだけがどんどん一人歩きしていって、肉付けのところで筆が進まなくなることです。なので、まずは自分にとっての直球から打つことが先決です。(と、これも実は私自身の『壁新聞体験』が根っこにあります^^)

さて、三人で分担すると、実は書くといっても分量はそれほど多くありません。「ちょうど400字詰めの原稿用紙1枚くらい」と説明すると、「え、それだけ?」と肩透かしを食らったようでした(それが作文だったら喜ぶところですが^^)。そして400字というイメージをつかんでもらうために、実際に原稿用紙を1枚配りました。

分量に安心してもらったところで、「逆に400字『しか』書けないから、言葉を選ぶ必要があるよ。それに絵も入れるともっとちょっとしか書けないし、ひらがなも漢字に直して節約した方が得だよ」と説明しました。するとMちゃんが「なるほど、そういうこと」と声に出してうなずいてくれました。そしてさっそく辞書を持ってきて、今書こうとしている「探偵」という漢字を調べていました^^ 原稿用紙は縦にも横に使ってもいいので、またマス目をぶち抜いて字を大きく書いてもかまいません。各自そのように自分の気に入るアイデアを求めて、あれやこれや考える時間をどうやら楽しんでくれていました。

H君は、この日のためにさっそく家から資料となる本を持ってきていました。以前『未確認動物捕獲大作戦』を書いてくれた流れで、「絶滅危惧種」と「未確認動物」について書くそうです。私もそのネタ本を見せてもらいましたが、とても詳しく書かれており、その中の小さな枠の説明文を書き写しただけで、あっというまに原稿用紙が埋まっていくのに、H君も驚いていました。

Eちゃんは、自分で考えた「エコクッキング」の記事を書いてくれています。なるほど、そうきました^^ いい目の付け所です。今回の主役は「パンの耳」だそうです。そしてそれを使った料理のレシピを絵入りで説明しています。最後にはカレーも出てくるそうです。Eちゃんはお料理と、エコということが好きなようです。

Mちゃんは、推理ものが好きで、最初は連載小説を書こうとしていたようでしたが、途中考えが変わって、一回読みきりの「推理劇場」をその都度書いていくことにしていました。まず事件が起こり、状況と登場人物を短い文章で説明します。そして最後に「犯人は一体この中の誰でしょう?」と、読者に投げかけ、「答が分かった人は、言いに来てください」とするそうです。それもいいアイデアですね。

自然とみんなそれぞれに自分の興味に従って書いてくれていました。1回の授業でほとんど下書きはできてしまい、来週にはさっそく模造紙に書きはじめられそうです。完成したら、山の学校のどこかに貼ってみんなに見てもらおうと言い合っています。

残りの時間は、昨年度から引き続き、『二分間の冒険』を読みました。第4章をちょうど1章分進みました。

今回の内容は、竜の館に向かう途中に森で豪雨に見舞われ、「止むまで待つ」か、「立ち止まると逆に危険だから先に進む」かで、主人公の悟とかおりの間で意見が二つに分かれます。雨の音で二人の声がかき消される中、毛布の入った大事なリュックが押し流されてしまい、「だから言ったじゃないか!」と、あわや仲たがいになる、というシーンが描かれています。(前回の「とげぬき」のシーンがちょっといい展開だっただけに(笑)、そのギャップが読者をハラハラさせます)。そして幸いにも、行く先に一軒の明かりを見つけます。果たしてそこにいるのは、親切な人なのでしょうか、それとも…?

ふとEちゃんが「これって先(のページ)を読んでもいいの?」とたずねてきたので、「別にいいよ。ただ、授業でも同じ箇所を読む時に嫌と言ってくれなければ」と、伝えました。すると他の生徒も一同に「やったあ、こんなん絶対次読んくるに決まってるわ~」と言ってくれました。そんな生徒たちのキラキラした様子に、我ながら手ごたえを感じた刹那でした^^

次回は、「ふたりのための剣」という章です。きっと面白い展開が待っていること請け合いです^^