高木です。
今日は春学期の最終回の補講でした。
春学期を通して読んできた『ガリバー旅行記』の第三・四部を、
今回で読了することができました。
昨年度と合わせれば、これで『ガリバー旅行記』を通読したことになります。
そして彼らの「理性」にはけっして「悪」が宿らないことを知ります。
フウイヌムに啓蒙されたガリバーはこの国に永遠に住まうことを望みます。
しかしフウイヌムたちの会議によってヤフーであるガリバーは追い出されてしまいます。
ガリバーは、野蛮な人間(=ヤフー)たちによって支配されたヨーロッパ社会に戻るくらいなら、
独りで無人島に暮らした方がましだと思って島々を転々としますが、
ついにポルトガル人の船にかくまわれることになります。
おそらく、ガリバーがもう一度イギリスの家族のもとに戻ろうと思えたのは、
ガリバーを丁重にもてなし、ガリバーの身の上話を真剣に聞き、
リスボンに到着してからも世間に慣れるまで自宅にガリバーを置いた、
ポルトガル船の船長ペドロ・デ・メンデスの人間性に触れたからではなかったでしょうか。
M君は「これからガリバーはまた人間になじんでいくんやろうな」と言ってくれました。
その通りだと思います。
人間の理性の脆弱さと美しさを知ったガリバーだからこそ、より人間らしく生きていけるのです。
またH君は「イギリスに戻ってからも馬を飼って毎日話しているのが面白い」と言います。
たしかに、『ガリバー旅行記』のラストシーンが馬(≠フウイヌム)との対話というのは、意味深です。
たんなるハッピーエンドではない、非常に考えさせられる、開かれた結末です。
二冊の本に渡る長い物語でしたが、集中を切らさずそれを通読できたということは、
素晴らしいことだと思いますし、彼らにとっても自信になったことだと思います。
しかも、毎時間、筆写にも並行して取り組んできました。
(これも昨年度と同様、まとめて『ことば六年生版・ガリバー旅行記』として冊子化したいと思います。)
彼らの日々のこつこつとした頑張りには頭の下がる思いです。
またなにより、これら朗読や筆写に楽しみながら積極的に取り組めたことが、良かったと思います。
今日も、早くも、『ガリバー』の次は何を読んでいくのかということで盛り上がりました。
彼らにとって読書が楽しみの一つになっているということは、私としても嬉しいかぎりです。
今日も後半の三十分は『ガリバー旅行記』の続編の創作に打ち込みました。
二人とも、かなりの長編になっているらしく、今日中には終らなかったので、
続きは、夏休みの間に書いてきてもらうことにしました。
また夏休み明けに彼らと会えることを楽しみにしています。
2年間の長旅お疲れ様でした。先生としても感無量ですね。1冊の本をこれほどじっくり丁寧に長期にわたって、かつ、先生や仲間と一緒に読み込む経験は、きっと将来その価値を実感できることだと思います。じつに山の学校ならではの取り組みであったと思います。かつてある評論家が「作品を確り読み込んだかどうかは、その続編を自分なら書けると思えるかどうかでわかる」と書いていたことがあります。このクラスの生徒たちは、絵に描いたようにそれを実践していますね。続編の完成を楽しみにしております。