7/9 ことば4〜6年生

高木です。

今日は春学期の最終回でしたが、
いつも通り、言葉遊びで頭の体操をしてから、
創作を進めました。

毎回の初めに言葉遊びをしているからか、
最近はとくに、普段はちょっと思いつかないような新しいアイデアを、
作品に取り込んでくれているケースを目にするようになりました。
今日も、夏休みの間に物語が書けるようにと、
原稿用紙を束ねて本の体裁に綴じたものをお渡ししたとき、
さっそくJちゃんが「次のはこういうタイトルにするねん!」と見せにきてくれたのですが、
それが『無人島のお姫様』というタイトルで、
なんとも面白い発想だなと感心しました。
というのは、無人島に王国など存在するはずもないのに、そこにお姫様がいる、
ということは、現実にはありえないからです。
現実にありえないからこそ、創作する楽しみがある。
私がそう言うと、Jちゃんは「そうそう!」と言って、ニコニコしていました。
夏休み明けが私も楽しみです。

さて、Mちゃんは、以前このクラスで書いた『お姫様とまじょの物語』の続編を、
完成させてくれました!
この『お姫様とまじょの物語 2』では、前作に引き続き「まほうのつえ」を探すのですが、
新たに冒険の仲間を3人増やして、計6人で魔女の住む城に向かいます。
Mちゃんの良いところの一つ目は、登場人物が増えても、
きっちり一人ひとりの性格(キャラクター)を描き分けてくれているということです。
新しく魔女の弟子も3人登場するのですが、どの弟子も個性的で、
そうした登場人物の細やかな造形が、物語を動因になっているのだと思いました。
また二つ目に良いところは、物語の場面展開の仕方が、非常に発想に富んでいるところです。
思いがけない場面の展開が、読者を飽きさせないと感じました。
たとえば、6人が入った魔女の住む城のベランダで、めい、ゆい、あいの3人は、
なぜか、自分たちが住んでいる城をベランダからの風景のなかに幻視します。
驚いて「あっ!」と声をあげた瞬間、ベランダが「ギィ」という音を立てて、
そのまま高速エレベーターのように城の屋上まで彼女たちを運ぶのです。
これはとてもスピード感のあるシーンでした。
そして三つ目に良いと感じたのは、実は魔女は「まほうのつえ」を横取りする悪者ではなく、
6人のお姫様たちと友達になりたくていろいろとちょっかいを出していただけだった、
という悪者をつくらないクライマックスのありかたでした。
作中、ミーナという人物が登場するのですが、
読んでいる途中段階では不可解に見えた彼女の行動は、
最後まで読むと、魔女のこうした両義性とのつながりが明らかになり、
「そういうことだったのか!」と膝を打たせることになります。
いわゆる「伏線を張る」ということですが、これが巧みに物語に深みを与えていました。

以前Aちゃんの作品についても書いたことですが、
Mちゃんも、ひとつの作品世界にこだわって、それを継続して書き続けてくれているところが、
もっとも良いところだと思います。
幾千もの文字をひとつの物語に注ぎ込むことは、なかなかできることではありません。
またこれは、このクラスのどの生徒にも言えることです。
全体的に物語が長編化しているのです。
最近は、最初にお渡しした原稿用紙の本に、ページが足らなくなったからと言って、
新たにページを継ぎ足すケースが増えてきました。
もちろん、長ければ長い方が優れた物語だということではありません。
作品の質は長短に関係ありません。
しかし、物語の長さとして表れる集中力や努力や創作意欲があることも、また事実でしょう。
その意味で、私は、彼女たちの創作を、最大限に賞賛したいと思います。

夏休み明けに、作品を携えて、また元気な顏を見せてくれることを楽しみにしています。