高木です。
『怪人二十面相』は、厳重な警備が張り巡らされた羽柴家から、二十面相が、
ロマノフ王朝伝来のダイヤモンドをまんまと盗み果せるまでを、朗読しました。
その六顆のダイヤモンドは、羽柴壮太郎氏と壮一君の目の前で、跡形もなく消えました。
羽柴氏が驚きの声をあげるところなど、とても感情がこもっていました。
朗読の後は、自然と、事件の真相の解明へと話が膨らみました。
突然部屋の中を転がったピンポン球があやしいのではないか、
ダイヤモンドを見守っている羽柴氏の気を散らすために窓から投げ入れたのではないか、とM君が推理すると、
H君は、実は怪人二十面相には共犯者がいて、ピンポン球を投げ入れたのはその共犯者ではないか、
そして、その隙に、二十面相がマジックハンドのようなものでダイヤモンドの入った小箱を空箱へとすり替えたのではないか、と推理を重ねてくれました。
推理小説には、謎解きの楽しみがあります。
その手がかりを逃すまいとするから、朗読にも熱がこもったのでしょう。
お互いの推理に耳を傾ける彼らは、「少年探偵団」そのものです。
今日から筆写もスタートしました。
『ガリバー旅行記』の時と同じように、自分の朗読したページを担当します。
筆写の完了したページをチェックできるように、「書き取り表」を作ってお渡ししました。
本文と原稿用紙を交互する真剣な眼差し、カタカタと鉛筆の音だけが響く教室。
「ここ漢字に直してもいいんやんな?」とM君。
彼らのひたむきな姿には、いつも心打たれます。
授業の後半は、『ガリバー旅行記』の続編の創作も一段落したので、
かつて隔週交替で行なっていた、漢字と「ひみつ道具」の取り組みに戻ります。
今日は、漢字の週です。
漢字はいわば、意味や図像イメージの組み合せパズルです。
その楽しさを知ってもらうために、これまで、成り立ちや熟字訓を学んできましたが、
今年度の秋学期からは、「部首」という側面からアプローチしてみようと思います。
そして今回は、手を動かしてもらおうと思い、「知っているだけ書き出す」ことに専念することにします。
1 ある部首の含まれた漢字を、知っているだけ書き出す。
2 書き出した漢字の別の部首が含まれる漢字を、知っているだけ書き出す。
この順序で取り組みます。今週の部首は「氵(さんずい)」でした。
たとえば、
1 氵 → 池、河、…
2 池(也)→ 地、他、施、… 河(可)→ 何、荷、奇、苛、…
と、用意したシートに「知っているだけ書き出し」ていきます。
H君は「湖、涼、江」など、M君は「海、泳、漢」など、
それぞれうんうん唸りながら、書き出してくれました。
M君が「漢 → 難」としていたことには、感心しました。
漢字は、文字数だけとれば、数千字にも及びますが、
その部分要素に分解し、要素の組み合せだと考えれば、覚えるべきことは、実はそれほど多くありません。
部分から学ぶことは、漢字を本質的に理解し、使いこなしていく上で、とても大切なことだと考えられます。
こうした作業を重ねて、要素の組み合せとしての漢字を、楽しみながら徐々に体得していきたいと思います。
物語を読むこと(しかも音読)、丁寧にテキストを筆写すること、いずれも「あいまいさを排除する」取り組みだと言えます。正確に音読出来ているかは、先生と他の生徒、そして自分自身が確認しながら前に進めていくわけです。また、筆写は、正しく描いたつもりでも、どこかで間違ことがある、ということを知るよい方法です。いずれ英語を学ぶときに、この音読と筆写の経験は大きくものを言うでしょう。
一人で黙読していると、目でかってに飛ばし読みしたりできます(それが普通の読書ですが)。本読みが好きでも試験がいまひとつ・・・という場合、この「飛ばし読み」の癖が災いすることがあります。ただ、そのような「好き」という経験が将来的には必ず実りをもたらす、ということを述べたいと思います。国語にせよ、英語にせよ、学年があがると、扱う分量が増えます。
大意を要約しながら読み進める力が問われるようになります。その際、持ち前の「飛ばし読み」(速読力)が有効になると思います。理想は、精読する力を磨きながら、速読力も養うということになります。