7月の論語の素読

去る7月3日は朝から強い雨の降る日でした。山の学校では、早朝より論語の素読を行う日でもありました(第三回目)。

申し込んでいても、雨が強いので取りやめる人が続出するだろうという私の予想はみごとに裏切られました。

「おはようございます」と挨拶しながら、傘を差した子どもたちが次々にやってきました。

真ん中の大きな部屋の机は浅野先生と亮馬先生がきれいに片付けて下さいました。開始時間までの間、早く着いた子どもたちは、自由に本を読んだりして過ごします。

この日新しく紹介した言葉は次の通りです。

「巧言令色(こうげんれいしょく)鮮(すく)なし仁」

前回と違って、この日の言葉は短くて拍子抜けしたかもしれません(前回のは長かったです)。

俳句であれ論語であれ、子どもにわかるように説明するのはいつも苦労します。とくに、この日の言葉は子どもたちにはあまりピンと来ない言葉だったと思います。少なくとも、この日集まった子どもたちにとっては。

美辞麗句を述べることや、顔色をつくろうことは子どもたちには無縁の世界だと思われますので。

子どもたちには難しい言葉かもしれませんが、「剛毅(ごうき)木訥(ぼくとつ)仁に近し」という言葉もあることを伝えました。

「人にものを伝えるとき、一番大事なのは真心です。ぺらぺらと上手に話ができることよりももっと大事なことがあります。かりに伝え方が上手でなくても、真心は必ず相手に届きます。

幼稚園の時を思い出して下さい。大人のように「大丈夫?」などと言わなくても、みんなは泣いている小さい人にさっと手を差し出しましたね。何も言わなくても、その気持ちはちゃんと相手に伝わりましたね。」

参加者のほとんどがお山の幼稚園の出身者なので、気がつくとこういう話しも交えながら、説明のような説明でないような話をしていました。たぶん卒園児でなくても、その場でお伝えしたかったことの内容は共有できたと思います。

その後、今まで学んだ二つの言葉をおさらいし、全員で通して朗唱しました。

じつは、この日は、たまたま海外から一時帰国されているお子さんの飛び入り参加もありました(ありがたいことです)。冒頭の「朋遠方より来たる有り」とはまさにこのことですね、と言うと、子どもたちも頷いていました。

同じ気持ちを分かち合う仲間がこうして一つの場所に集まって、何かに真剣に取り組むこと、これは将来得難い思い出に昇華していくでしょう。

未来になってからあわてて思い出作りをしようと思っても時すでに遅しです。

私たちの活動をご理解下さり、こうしてお子様のご参加を応援していただいているすべての皆さんにこの場をお借りして感謝申し上げます。