浅野です。
英語読書会の第13回です。範囲はp.73, l.12~p.80, l.4まで進みました。
the poor boy isn’t something you goggle at in a zoo.
「そのかわいそうな少年は、動物園でじろじろ見つめるようなものではないよ」といったところです。”poor”には「貧しい」の他に「かわいそうな」という意味もあります。この一家ではしっかりと教育がなされているようです。
双子のフレッドとジョージもハリーに余計なことを言うなと釘をさされます。それを受けて双子のどちらかはこう言います。
All right, keep your hair on.
“keep one’s hair on”は「落ち着けよ」という意味の表現のようです。「怒髪天を衝く」の反対ということでしょうか。
見送りの場面は続きます。
‘… we’ll send you loads of owls.’
‘We’ll send you a Hogwarts toilet seat.’
“loads of”は”a load of”、もっと言えば”a lot of”と同じで要は「たくさん」という意味です。”a ~ of”で「たくさん」の意を表す表現は他にもたくさんあります。「たくさんのフクロウを送る」とは魔法使いたちの習慣からすると「たくさん手紙を書く」ということです。それに対して双子は「ホグワーツの便座を送るよ」と冗談めかして答えています。この前の場面で便座の話が出ていました。
そうして列車は出発します。ハリー、双子のジョージとフレッド、彼らの弟のロンが同じコンパートメントに座ることになります。しかし双子はすぐにはしゃぎながら出て行きます。
Listen, we’re going down the middle of the train — Lee Jordan’s got a giant tarantula down there.
二箇所に”down”が出てきますが、これらには強い意味はありません。”go down”といっても下に降りるわけではありませんし、”down there”といっても高度が低い場所でもありません。
こうしてハリーと二人きりになったロンは気になっていたことをいろいろ質問します。例の事件のときのことや、マグルとの生活などです。ハリーは逆に魔法使いとの生活について聞き出します。そんな中でハリーはVoldemortの名前を口にします。ロンは驚きを隠せません。
I’d have thought you, of all people –‘
ここは非常にわかりづらいです。”of all people”は「全ての人の中で」ということでしょう。”He is the tallest of the three boys.”のように最上級とともによく用いられるものです。”I’d have thought …”の部分はよくわからないのですが、”I should have thought…”で「…だと思ったのに」という意味が辞書に書いてあったのでこれかなと思います。「全ての人の中でも君が[そんなことを言うはずがないと]思ったのに」と補えば意味が通ります。
話している間に昼過ぎになっていました。車内に売り子がやってきます。ハリーは目当ての”Mars Bars”を見つけることができませんでしたが、その代わりに変わったお菓子を買い込みます。その中にはカエルチョコがありました。有名な魔法使いのカードが入っているお菓子です。そのカードには伝説が記されているので、昔流行したビックリマンを思い出しました。ご存知ない方はサンプルをご覧ください。その次は”Every-Flavour Beans”です。文字通りあらゆる味があるみたいです。
列車は森のほうへとさらに進んでいきます。カエルをなくしたという男の子がやってきました。ロンは自分ならカエルなんかをなくしても困らないと言います。と言いつつもロンはネズミのスキャバーズを連れているのですけれどもね。そのスキャバーズにはなぜか魔法が通用しないそうです。
しばらくしてまたそのカエルをなくした男の子がやってきました。今度は女の子もいっしょです。彼女は人の話もろくに聞かずにロンに魔法を見せてくれと言います。ロンは黄色いものを表す語を並べた呪文でスキャバーズを黄色にしようとしますが、やはり効果がありません。
‘Sunshine, daisies, butter mellow,
Turn this stupid, fat rat yellow.’
He waved his wand, but nothing happened. Scabbers stayed grey and fast asleep.
“Scabbers stayed grey”の部分が日本語では「スキャバーズは相変わらずねずみ色で」と訳されていたのが笑えます。そりゃスキャバーズはねずみですから。
その女の子はハーマイオニという名前で、人間界からやって来たにもかかわらずもう全部の教科書を暗記したと言います。というわけでそれらの本の中に登場するハリーのことも知っていて、ハリー自身が本に書かれていることを知らなかったのを見てこう言います。
Goodness, didn’t you know, I’d have found out everything I could if it was me…
日本語版ではここの部分がこう訳されています。「まあ、知らなかったの。私があなただったら、できるだけ全部調べるけど。」”Goodness”は文字通り「良いこと」の意でも用いられますが、”Oh, my God”の軽い表現としても代用されます。問題は”if it was me”の部分で、厳密に訳すと「もしそれが私だったら」です。「それ」というのは本に書かれていることです。「私があなただったら」を英語にするなら”if I were you”です。
このあたりで時間になりました。次回は7月30日(金)の18:40からです。
小さいことですが、grey はイギリス英語の表記、アメリカ英語なら gray ですね。海を渡って綴りが変わってしまいました。