浅野です。
英語読書会の第11回です。範囲はp.57, l.7~p.64, l.20まで進みました。
More’n my job’s worth ter tell yeh that.
例によってハグリッド語が全開なので、標準英語に直してみます。
It’s more than my job’s worth to tell you that.
硬く訳すなら、「あなたにそれを言うのは私の仕事に値することを超えている」といったところです。
ともかく荷車に乗ってまずはハリーのお金を引き出しに行きます。信じられないことに、そこにはたくさんのお金がありました。
The Dursleys couldn’t have known about this or they’d have had it from him faster than blinking.
「ダーズリー家の人たちはこのことについて知っていたはずがない。そうでなければ、彼らはまばたきよりも速くハリーからお金を取っていただろう。」
次はダンブルドアに頼まれたお使いのほうです。先ほどよりも厳重な警備です。
Harry longed to know what it was, but knew better than to ask.
このでの”long”は「~を切望する」という動詞です。それを踏まえて直訳すると、「ハリーはそれ(ダンブルドアに頼まれた用事)が何であるか知ることを切望していたが、質問することよりもよく知っていた」となります。多少自然な日本語にすると、「ハリーはそれが何であるかとても知りたかったが、質問するほど愚かではなかった」くらいです。
二つの用事を済ませてハリーたちは銀行の外に出ました。
Harry didn’t know where to run first now that he had a bag full of money.
みなさんはこの文をきっちりと区切れますでしょうか。
Harry didn’t know / where to run / first / now (that) / he had a bag / full of money.
が区切り方の一例です。ポイントは”first”と”now”の間で切ることです。そしてこの”now (that)”は接続詞的に用いられて、「今や…なのだから」という意味になります。全訳すると「今やハリーはお金でいっぱいのかばんを持っているので、最初にどこへ走っていくべきかわからなかった」となります。
一方ハグリッドは銀行での荷車に酔ったのか、気分が悪そうで、ハリーにこう言います。
Listen, Harry, would yeh mind if I slipped off fer a pick-me-up in the Leaky Cauldron?
“mind”は会話文で相手の意向を聞いたりお願いをしたりするときに使います。ただしこの”mind”は「~を気にする」という意味の動詞なので、承諾するときは”no”で答えます。あとは”pick-me-up”が謎でした。”pick me up”には「車で私を連れて行く」という意味がありますが、ここではハイフンでつながれています。ハイフンでつながれた語は熟語ではなく単語扱いなので(辞書を引くときに注意が必要です)、調べてみると「元気を回復させるもの」とありました。ハグリッドですから酒のことでしょう。会話調で訳してみます。「なぁ、ハリー、Leaky Cauldronで一杯やりに抜けても構わんかね」
というわけでハグリッドがいなくなったので、ハリーは一人で魔法服を買いに行きます。そこにはダッドリーを思わせる、いけ好かない少年が同じように服を買いに来ていました。待っている間にその少年といくらか会話をしますが、ハリーにはわからないことが多すぎます。あとでハグリッドに聞いてわかったことによると、”Quidditch”とはほうきを使って行うサッカーのようなスポーツで、”Slytherin”や”Hufflepuff”は学校の寮の名前のようです。少年の言い方では前者がエリート、後者が下層の人たちが入る寮のようですが、ハグリッドはそうではないと言います。
‘There’s not a single witch or wizard who went bad who wasn’t in Slytherin. You-Know-Who was one.’
否定が二つあって混乱しがちですが丁寧に内容を追います。「Slytherinに行かずに悪くなった魔法使いは一人としていない」、数学で言うところの対偶を取ると、「悪くなった魔法使いはみなSlytherinに行っていた」ということです。そして「例のあいつもSlytherinに行って悪くなった魔法使いだ」そうです。
それから細々とした道具を揃えたところで、ハグリッドはハリーに誕生日プレゼントを買ってあげます。それはフクロウです。ハリーがどもりながらお礼を言うとハグリッドは
Don’ mention it.
と言いました。”Don’t mention it.”はお礼を言われたときの決まり文句です。日本語では「どういたしまして」に相当します。「礼には及ばない」のほうが微妙なニュアンスを汲めているかもしれません。
買い物の最後は杖です。その店のドアにはこう書いてありました。
Ollivanders: Makers of Fine Wands since 382 BC.
紀元前382年から杖を作っているのですね。ちなみに”BC”とは”Before Christ”の略で、「キリスト以前」ということです。その反対語の”AD”は”Anno Domini”というラテン語の略で「神の年」です。英語とラテン語が混在しているのが不思議です。
その店の主人はいかにも職人気質の人で、ハリーの両親、ヴォルデモート、ハグリッドと、次々に自分が売った杖のことを思い出します。もっともハグリッドの杖は追放処分のときに折られてしまい、今では使ってはいないはずではありますが。
このあたりで時間になりました。次回は本日7月9日(金)の18:40からです。