浅野です。
英語読書会の第10回です。p.50, l.30~p.57, l.6まで進みました。
‘If I was ter – er – speed things up a bit, would yeh mind not mentionin’ it at Hogwarts?’
‘Of course not,’ said Harry…
“would you mind ~ing”というのはお願いごとをするときの言い方です。ハリーはそれに”not”で答えています。ということはそのお願いごとを拒絶したのでしょうか。いいえ、そうではありません。”would you mind ~ing”を直訳すると「~することは気に障りますか」という意味なので、”not”で答えると気に障らない、つまり承諾することになります。
冒頭の”if”が実は曲者です。一つには「もし~なら」と解釈できますし、もう一つには「もし~でも」と解釈できます。ここでは両方を併記して訳しておきます。
「もし(ボートの)スピードをちょっと上げても[上げたら]、そのこと[禁止されていた魔法を使ったこと]をホグワーツで言わないでいてくれるかい?」
「もちろん言わないよ」とハリーは言った。
そうこうしてともかく岸にたどり着きます。しかし一そうしかないボートにハリーとハグリッドが乗って帰った後で、ダーズリー一家はどうしたのでしょうか。あまり考えないことにしましょう。
通行人からじろじろ見られながらも、ハリーとハグリッドはロンドンへと向かいます。電車の中では必要な品物のリストを確認します。これは人間界の中学校と形式は同じですね。そのリストの末尾にはこう書かれていました。
PARENTS ARE REMINDED THAT FIRST-YEARS ARE NOT ALLOWED THEIR OWN BROOMSTICKS
一年生は自分のほうきを持つことは許されていないことをご両親の方は覚えておいてください。
といった具合です。敢えて対応づけるなら、ここでの「ほうき」は人間界での「自転車」といったところでしょうか。
そうしてロンドンを歩くうちに、ハリーは疑心暗鬼に陥ります。もしかしたらダーズリー一家の人たちがだましているのではないかと。しかし次のように考えて思い直しました。
If Harry hadn’t known that the Dursleys had no sense of humour, he might have thought so; yet somehow, even though everything Hagrid had told him so far was unbelievable, Harry couldn’t help trusting him.
またもや仮定法です。前半部は「ダーズリー一家の人たちがユーモアのセンスを全く持ち合わせていないことをハリーが知らなかったとしたら、そう(彼らが自分をだましていると)思ったかもしれない」となります。裏の意味は「実際にはユーモアのセンスを全く持ち合わせていないことを知っていたので、彼らが自分をだましているとは思わなかった」ということです。残りの箇所では”so far”が「今までのところ」という意味を表すのが気づきにくいところではあります。
実際、ハリーはその直後に、ハグリッドが言っていたことが本当だとわかります。とあるパブに入ったのですが、そこでハリーは熱狂的な歓迎を受けたのです。ただ、クィレル先生は挙動不審でした。ハリーとしばらく会話した後、ヴァンパイアについての本を見つけに行くと言って出て行きました。そして
He looked terrified at the very thought.
という状態でした。「彼はまさにその考えに怯えているように見えた」のです。”very”は副詞として用いられることがほとんどですが、ここでのように形容詞として用いられる(名詞を修飾する)と「まさにその」という意味になります。自分でこの場から逃れるために言った「ヴァンパイアについての本」というまさにその考えに怯えたということでしょう。
ハリーもいつまでもその場にいるわけにはいかないので立ち去ります。そしてハグリッドが言っていた銀行にまず立ち寄ります。そこにはこう書かれていました。
Enter, stranger, but take heed
Of what awaits the sin of greed,
For those who take, but do not earn,
Must pay most dearly in their turn,
So if you seek beneath our floors
A treasure that was never yours,
Thirf, you have been warned, beware
Of finding more than treasure there.
詩のようですね。韻律のために改行がなされていますが、意味上はつづいています。最後の行の”more than treasure”が具体的にはどのようなことを言い表しているのか疑問でした。宝より大切なもの(誠実さとか?)かなとも思いましたが、注意を促すこの文にそれはおかしい感じがします。ドラゴンなどの宝を守っているものを指しているのかもしれません。日本語の訳者がこれまた見事に訳していたので、最後に紹介しておきます。
見知らぬ者よ 入るがよい
欲のむくいを 知るがよい
奪うばかりで 稼がぬものは
やがてはつけを 払うべし
おのれのものに あらざる宝
わが床下に 求める者よ
盗人よ 気をつけよ
宝のほかに 潜むものあり
次回は6月18日(金)の18:40からです。