『しぜん』のクラスだよりです。山びこ通信2004年8月号からの転載です。
*** SENSE OF WONDER !
『しぜん』だより 担当:(山下育子/山下太郎)
6月22日(火) テーマ “水生昆虫(すいせいこんちゅう)”
梅雨の真っ直中と言うのに、爽やかな晴天に恵まれました。先週に引き続き、“ひみつの森”の水たまり(貯水池)へ水生昆虫を求めて出発する前に……
●水生昆虫って? 何だろう。
(※一生のある期間、水の中にすむ昆虫のこと。)
●水生昆虫のすむ場所はどこ。
1)流れの少ないところ ( )
※田んぼ、池、湖、水たまり…etc.
・すんでいる昆虫は? ( )
※トンボ、アメンボ、ミズカマキリ、タイコウチ、ミズスマシ、ゲンゴロウetc.
2)流れのあるところ ( )
※川
・すんでいる昆虫は? ( )
※ホタル、カワゲラ、トビゲラ、ヘビトンボ、カゲロウetc.
●図鑑で下調べをしたあと、手には水陸両用の虫取り網を持って、いざ出発!
“ひみつの森”に着くなり、網を水の中へすぅーっとひとすくいすると、中にはオタマジャクシ、トンボの幼生、アメンボ、マツモムシ等いろいろな生き物が入ってきました。見たこともない昆虫もいるようす。
子どもたちは、泳ぎ回る生き物や水中で葉脈だけになった葉など、幾度も網を水の中につけては、目を皿のようにして中に入ってくる生き物を探します。
「このオタマジャクシ可愛いー!」
と、手の平にのせて観察するMちゃん。オタマジャクシはかなり沢山いるようです。
「もうすぐ後ろ足がでてきそうね。」
ふと横を見ると、何かと格闘中のGちゃん。水たまりの上の木に、何やら綿菓子のような白い塊。
「白くもったりと木に産みつけられたのは、何だろうね?」
「そや、モリアオガエルの卵や!」
「その中でオタマジャクシにかえって、下にある水にポトンと落ちて泳ぐわけか。うまくできてる!」
どうしても手にとって確かめたいGちゃんは、網を持った手をグッと伸ばし、卵の半分をゲット。
「中に卵のつぶが見えてる・・・」
「じゃ、大事に飼育ケースに水を張って観察してみようか。」
持ってきた手提げ水槽にいくらかの水生昆虫を入れ、楽しかった“ひみつの森”を後にしました。
そして、皆はスタート地点の幼稚園の園庭に戻って来ました。
**クロアゲハとのお別れ**
今日、Sちゃんは、“クロアゲハ(蝶) 夏型クロアゲハ 60㎜~70㎜くらい”を、ケースに入れてお家から小学校を経て、しぜんクラスまで運んできていました。結構大きなケースです。なぜかと言うと、何処かで羽がちぎれて傷ついていたクロアゲハを見つけ、お家で花の蜜を吸わせたりハチミツを食べさせながら育てていたということでした。
いよいよ、そのクロアゲハを、お山に続く幼稚園のお庭で自然に返してあげようということになりました。皆でケースのふたを開けて、Sちゃんは声をかけます。
『さあ、飛べ!がんばれ!』
クロアゲハのとまった蓋を頭上にあげると、いつしか、フワッ・・・と、空高くクロアゲハは舞い上がり、園舎の屋根を見おろす大きなクスの木の上へと飛び立って行ったのです。
「ヤッター!!」
「飛べたねー」
「すごい。力が残ってたんだねー!」
思わず、皆が拍手をしたその時でした。飛んでいったはずの“クロアゲハ”が、あちらから、舞い戻ってきたのです。あっ、“トンボ”と一緒です! 皆、空中を見つめて、こちらに目がけて飛んでくるクロアゲハとトンボの様子をただ見守っていました。クロアゲハとトンボは、少しの間、皆の頭上を舞ったあと、
『今度こそ、行ってくるよ-!』
と言っているように、トンボは南へ、クロアゲハは東の大文字方向(花の咲いた高い木の方向)へ羽ばたいて行きました。
それは、一瞬の出来事でした。不思議な、でも確かなことで、私達は皆で何かに吸い込まれるような、言葉の要らない時間を共有した思いがしました。
その後、教室に戻り、長方形のバットに移した水中生物を手にとり観察しました。
この日は、コスズメ(蛾)のサナギのお客さんがありました。
手にとって、指でつまむと、おしりを右へ左へ「ピクッ、ピクッ」と力強く動かします。
あと、1週間くらいで羽化するのでしょう。
現在、教室に仲間入りした生き物
- アメンボ 生きた小さな虫が水面に落ちる波動で、近づき手で獲物を押さえ、長いストローのような管で刺して体液を吸う肉食性。飼うにはエサの捕獲が大変。
- オタマジャクシ 種類は不明。カエルになる前は、金魚のエサ(テトラフィン)でよいとの事。カエルになるとエサが生き物に変わるので、その前に自然にもどしたいです。
- オオアオイトトンボ 幼生の時は、ボウフラ、アカムシを食べていました。
- アカアシクワガタ 園内を歩いていて、メス。土にもぐり、よく昆虫ゼリーに顔をつっこんでいる。
- キボシカミキリ お山の石段を歩いていた。つかむと、キュッキュッと音を出すので可愛い。そう言えばイチジクの葉の下に落ちていた。黒い体に黄色の斑点。
- モモスズメ(蛾) サナギ(そろそろ羽化する時期)
- コスズメ(蛾) サナギ(同上)
- カミキリムシのサナギ 朽ちた木の中で生育。
- スズムシ 昨年のスズムシが今年6月に入り孵化した小さな子どもスズムシ。小さくまだ鳴きません。欲しい方、あげます!
- カブトムシ よう室をつくりサナギに。何匹入っているのだろう。
(山下育子)