福西です。更新が滞っていましたが、前回と前々回の報告です。
2回目の授業では、リモコン部品を組み立て、それの1chと2chが両輪を駆動させているか(ちゃんと配線ができているか)を確かめました。たとえば左の車輪を「前」に動かそうとして、それに対応するスイッチを押したのに、急に右の車輪がバックするといった、配線が思ったのとは違う向きになっていることもありました。
それを直すのが2回目の課題で、最終的には「左前」と「左後」、「右前」と「右後」、「前進」と「後退」が、ちゃんとスイッチを押した通りに動くようになりました。
(リモコンの配線図。コードの色を、見間違えずに慎重に取り付けていきます)
これが一喜一憂する作業で、A君はあるチャンネルだけが「うんともすんとも」言わないことに、悲しそうになっていましたが、リモコン基板部の配線がゆるかったことが原因だと突き止め、それを自分の手で直したとき、「これで、前より1.5倍元気になった!」と喜んでいました。
(リモコン基板の配線は、このようにして取り付けます。ううむ、ヤヤコシヤ! モーター1つにつき2本ずつつながっています。そのうち片方が抜けていても、うんともすんとも動きません。どこが悪いかを後で調べないといけなくなると、ドライバーを入れるためにせっかく組み立てた部分をまたはずさないといけなくなるので、ここはしっかり、慎重に取り付けます)
さっそくH君が素のユニバーサルアームを取り付け、それの回転によって「起き上がり」のできるロボットを工夫していました。腕があると、急にパワーアップしたように感じます。
(H君のロボット)
さて、アーム用のモーターは4段階ほど「ギア比」を設定することができます。平ギアの枚数で、高速(2枚)、準高速(3枚)、中速(4枚)、低速(5枚)と変えることができます。なぜギアを増やす必要があるのでしょうか? 字面では「高速」仕様が一番いいように感じますが…。
(ギア比…高速126:1、準高速441:1、中速1648:1、低速5402:1。ギアが1つ増えるごとに回転数は約4倍ずつ落ちていきます。でもその分、あるものが4倍に…!)
ここで自転車をこぐ時を思い出してもらいました。平地を走る時に、わざわざギアを「重く」するのはなぜでしょうか?
それは1回転を遅くすることによって、その間に進む距離を増やしたいからです。回転を遅くすることは、その間の「足(モーター)から受け取る力」を増やせることになります。逆に坂道の時には、ギアを「軽く」し、早く回るようにします。その代わり1回こいで進む距離は少ないというわけです。
つまり低速にすればするほど、それだけ強い力をモーターから受け取ることができるのです。そのように、「力仕事をさせたいなら、中速~低速がいいよ」と一応アドバイスはしておいたのですが、やはりそこは初めての経験。何ごとも自分でやって確かめてみないと納得できない様子で(笑)、最初はみんな高速仕様にしていました。
(ギアボックスの説明図)
(高速(左):ギアが2枚しかない分、ものすごく軽快に回ります)
(低速(右):ギアが5枚もあって重厚です)
特にK君が「え、これだけでいいの?」と肩すかしを食らったようでした。そうなのです。高速仕様は、かえってギアが少なくて、組み立ても楽なのです。ギアが回りだすと、「おお、おれの速いぞ!」と喜んでくれていました。K君はボールを巻き込んで取り入れるラダーチェーンというものを後で取り付ける予定なので、「速く回転する方がいい」というのがその判断でした。
さて、高速モードでも何とかなるかな?…とは思っていたのですが、やはり問題が発生。H君のロボットで、そのことが具体的に示されていました。というのは、H君のロボットのアームが、リモコンのスイッチをちょっと倒しただけで、過剰なほど勢いよく回転したのでした。そうなのです。「途中がない」というわけでした。そしてさらにロボットが起き上がろうとした時に「ガリガリ!」というギアのきしむ音が聞こえたのでした。これはギアにとって余りよくないことです。
つまり、「起き上がる」という目的では、回転速度はそれほど必要ではなく、逆に力がいるということが分かりました。起き上がれないと、意味がないですからね。そこで、力を増やすために、ようやくもう1段ギアを増やすことにしました。
(ギアを2枚→3枚にしたところ)
(おお、1段変えるだけで、ちょうどいい感じに)
これでパワーがうまく伝わるようになりました。適正なギア比を探るための、いい経験になりましたね。
こうして除々に基本部分が完成しつつあります。また途中途中の完成具合を確かめるように、各自で「対戦」をさせている様子が、いかにも中学生らしくて印象的でした。
その時に、足回りが急に遅くなったり、配線が抜けたり、リモコンの言うことを聞かなくなったり…というトラブルに出くわし、不安という刺激で頭が活性化していました(^^)。いわゆるトラブルシューティングですね。ようやく原因を突き止め、機能がもとに戻った時は、「はあ~、よかった!」と胸をなでおろしていました。ものづくりをする人の共有体験が「ここにもある」と感じました。