今号の山びこ通信(2013/11/1)から、クラスの様子をご紹介します。(以下転載)
『ラテン語初級・中級』/ 『ラテン語中級講読』 (担当:広川直幸)
今学期から開講したラテン語初級ではHans H. Ørberg, Lingua Latina I: Familia Romanaを用いて一からラテン語を学んでいる。この教科書の本質は文法訳読方式のラテン語学習との完全なる決別にあるので、訳すという作業は行わず、読んだテクストについてラテン語で質問をしラテン語で答えてもらって理解度を確認するというやり方で進めている。週一回の授業では練習に十分な時間を充てることができないので、各自で毎日少しずつテクストを読み返してラテン語で自問自答をする練習をしてもらえればと思う。
ラテン語中級ではHans H. Ørberg, Lingua Latina II: Roma aeternaを用いて講読と作文を行っている。難関であったCAPITVLVM XLVIII(第48課)のリーウィウスの第二次ポエニ戦争の記述をようやく読み終えることができた。今は第49課に入り、ネポースの『外国名将伝』中の「ハンニバル」を読んでいる。
ラテン語中級講読では引き続きフランチェスコ・ペトラルカの『わが秘密』を読んでいる。そろそろ第一巻の終わりが見えてきた。『わが秘密』は我が身の不幸に苦悩するフランチスクス(フランチェスコ)とアウグスティーヌスの対話からなっている。フランチスクスに対してアウグスティーヌスが提示する不幸からの脱出法が仏教の四聖諦によく似ていることや、仏教の死随念のような瞑想法が説かれていることを不思議だなと思いながら読んできた。『わが秘密』は第一巻でひとまず終了として、次はPeter Dronke, Nine Medieval Latin Playsを用いて中世ラテン語劇を読む。
(広川直幸)