福西です。R君とは、1次関数の文章題を考えました。学校で習った時には難しかったということなので、ここでは典型的な問題で「型」を覚えてもらいました。(いわゆる水道方式です)
問題
携帯電話の契約で、A社は30分200円、基本料金が500円です。B社は1分10円、基本料金無料です。
1)A社で、1時間使った時の料金はいくらですか。
2)A社で、5000円を越えるのは何分の時ですか。
3)B社の方が高くなるのは、使い続けて何分以上のことですか。
4)A社、B社について、時間と料金の関係をグラフに表しなさい。
(即興で作った問題なので、数字は現実的でないと思います^^;)
詳細は省きますが、まず、1次関数の問題は、とにかく、次のことが重要です。
「最初にy=ax+bと書くこと」
これを頭の中で書いているうちは、まだだめです。なぜ書くのか?それは、こればっかりは、自分で「発明」することのできない部分だからです。とにかく紙に書くことに慣れて、「型」としてしみ込ませてください。(書いたら、半分解けたようなものです)。
y=ax+b
今、xは分、yは料金とします。(これは自分で設定します。xを「時」にしてもかまいませんが、分で答えさせる設問があるので、分にしておきます)
そして、上の式を書いたメリットは、「このあと、aとbという未知数を決めるんだ」という宣言になっていることです。そのように、問題を解く方針が立てられるということが、文章題を解くことの難しさの大半を占めます。なので、それができれば、あとは計算間違いに気を付けて機械的に作業を実行するだけです。(具体的には連立一次方程式を解きます。必要ならグラフもかきます)。
R君は、y=ax+bの係数aが傾きを表し、bがy切片を表すということは、しっかりと理解していました。なので、あとはそれを計算して求めるだけです。
1)
A社は、まず基本料金が500円なので、これがそのままb=500になります(x=0の時y=b)。そして30分200円なので、傾きは200/30=20/3です。よって、A社は
y=(20/3)x+500
です。
ついでに3)で使うB社も考えておきます。基本料金が0円なので、b=0になります。傾きは10/1。よって、B社は、
y=10x
です。
さて、A社で1時間なので、x=60。
y=(20/3)・60+500
=900(円)
となります。
2)
5000=(20/3)x+500…(*)
から、
4500=20x/3
とし、
20x=4500・3=13500
x=875(分)
となります。
(*)からの変形で、以前R君は-20x/3=500-5000としていたことがありました。この場合は、未知数xと数字がすでに分離できているので、xはマイナスが出ないように右辺に留めておいた方が良いです。以前そのように伝えたことを、ここでR君はきちんと覚えてくれていました。
3)
B社は先に求めたように、
y=10x
です。R君は、
y=(20/3)x+500
y=10x
と並べて書いた後、すぐに
10x=(20/3)x+500
としており、ちゃんと「yが共通だから」ということが分かっていました。
これを解いて、x=150(分)となります。(この場合は、xは左辺に集める、ということもできていました)
4)
グラフは、x軸、y軸の矢印と、原点をかきます。ここで、軸に目盛を打つ必要はありません。一次関数は直線なので、通る2点の座標だけかけば十分です。
そのうち1点は、y切片です。そこをまずおさえます。A社はy=500のところ、B社は0、つまり原点を通ります。
次に2点目をかき込みますが、これは同時にそれで傾きの情報が分かるように、そしてなるべく座標が整数になるようにするのがベターです。
そして傾きは、「(右に)1行ったらなんぼ上がるか(下がるか)」という情報なので、B社なら、原点から1行って10上がった、(1,10)の点をかき込めばOKです。それで2点目と同時に傾きの情報も入れたことになります。
A社の方は、傾きが分数の20/3です。これではちょっと分かりにくいので、y切片から「3行って20上がった」ところに2点目を打つのが、一番分かりやすいかき方だと思います。つまり、(x,y)=(3,520)です。
また、R君に「B社のようなグラフは正比例かどうか」という質問をし、それが「正比例である」ということを確認しました。
さらに、「A社のは正比例かどうか」とたずねると、「正比例ではない」という答が返ってきました。
そうです。正比例は原点を通る場合のみです。
f(nx)=nf(x)となるのが正比例の定義ですが、y切片がある場合、つまりy=ax+bの場合は、確認してすぐわかるように、
f(nx)=anx+b≠n(ax+b)=nf(x)
となって、bの影響が出てしまっています。(こういう影響をアフィン的と言います)。
けれどもこれは一直線には違いないので、もう少し広い範疇で、(正比例もその仲間に含めるという意味で)「1次関数」という言い方をするわけです。
さて、ここまでできた後、最後に設問を追加しました。
5)
C社が参入しました。3分20円、基本料3000円。ただし10時間以上は、その10時間での料金で一定、という条件です。このグラフをかき、C社が他社と同じに(それ以上は安くなる)のは、何分以上の時か答えなさい。
これは、典型的な「1次関数でない」ケースです。
「xがどこでもy=ax+bであること」があくまで1次関数なので、途中で定数関数y=cに切り替わるそれは1次関数ではありません。また、見た目からして当たり前かもしれませんが、途中で1回でも折れ曲がっているような直線は「まっすぐ」ではありません。よって、C社のそれは、(一直線の仲間であるはずの)1次関数ではありません。
ただし、ある範囲(定義域)では1次関数(y=ax+b)であることは間違いないので、そこは頭を柔らかくして考える必要があります。
ここで時間がきてしまったので、ここからは来週また説明することにします。