決闘クラブの続きです。
いきなり生徒たちに実践練習をしてもらうと大変な騒動になったので、先に防御の仕方を教えるということになりました。ハリーとマルフォイが見本になることになります。ロックハート先生がハリーに防御のやり方を教えますが、杖を落としてしまいます。他方でスネイプ先生はマルフォイに何やら耳打ちをします。マルフォイに「怖いのか?」と聞かれたハリーはこう答えました。
‘You wish,’ said Harry out of the corner of his mouth.
You wishの部分は「そうはいくものか」や「そう思いたいならそう思っとけ」といった意味です。You wish I were scaredと補うことができます。out of the corner of his mouthは直訳すると「口の端から」で、真正面から答えられないほどハリーが実際には怖がっている様子が見て取れます。
合図とともにマルフォイは魔法でヘビを呼び出しました。固まっているハリーを見て楽しんでいるスネイプ先生がヘビを消そうとしたところにロックハート先生が割り込み、ヘビを消す代わりにヘビを床に打ち付けてしまいます。怒ったヘビはジャスティンを襲おうとし、ハリーは無意識的にヘビに向かってやめろと言って、それが通じました。そしてジャスティンを見上げました。
He looked up at Justin, grinning, expecting to see Justin looking relieved, or puzzled, or even grateful – but certainly not angry and scared.
but以下はcertainly not (expecting to see Justin looking) angry and scaredと補うべきであり、certainly (expecting to see Justin looking) not angry and scaredと補うと混乱します。ジャスティンが怒っていたり恐れていたりするのを予期していなかったのであって、ジャスティンが怒っていなかったり恐れていなかったりするのを予期していたのではありません。
しかしジャスティンがまるで怒っていたり恐れていたりするかの様子でハリーのところから逃げ出しました。スネイプ先生も訝しげにハリーのほうを見ています。
ハリーは何がどうなっているのだがわかりませんでしたが、寮の談話室に戻ってからロンとハーマイオニーが説明してくれました。ハリーはParselmouthだとのことです。
Parselmouthは文脈からしてヘビ語を話せる人という意味だと推測できるので、parselはヘビを意味しているのかと辞書を引くと、そのような単語は収録されていませんでした。それで造語なのかと思いきや、古い英語で口唇裂を意味する語だと作者が言っています。
もう一つの考えとして、構文解析するという意味のparseにも関係しているのではないかという説もあります。
Journal of Adolescent & Adult Literacy Selections
何にせよジャスティンを助けられたのだからよいではないかとハリーは思いますが、ロンとハーマイオニーによると、Parselmouthはサラザール・スリザリンの特徴で、悪い魔法使いのしるしだそうです。 スリザリンの子孫かもしれないと思い悩み、ハリーはその夜何時間も考え事をしてしまいました。
ジャスティンに直接事情を話そうと決意しますが、あいにく大雪のために植物学のクラスは休講になります。苛立つハリーにハーマイオニーはfor heaven’s sake(お願いだから)と言います。
そしてハリーはジャスティンを探しに図書館へ行きます。ハッフルパフの生徒たちが集まって話していることが耳に入り、隠れ術の棚のところに隠れます。アーニーというかっぷくのいい少年が、ハリーがスリザリンの後継者でこれまでの襲撃の犯人だというように話しています。ハリーと例のあの人(ヴォルデモート)との関係も、悪の魔法使い同士の覇権争いだと彼は捉えています。
このあたりで今回はおしまいです。