福西です。
夏休みの宿題に出していたプリントを、さっそく二人とも出してくれました。モティベーションの高さに感心しました。その調子で2学期もいきましょう。
さて、この日は春学期の最後に考えていた問題の答え合わせをしました。
前回までの様子はこちらの記事をご覧ください。
問題(再掲)
豆電球が1000個あり、1~1000まで番号が付いている。
そしてその豆電球にはそれぞれスイッチが付いており、1回スイッチを入れるごとにON、OFFが切り替わる。
ONの時は「明るく」なり、OFFの時は「暗く」なる。
最初は全部の豆電球はOFFの状態である。
以下、1の倍数、2の倍数、3の倍数・・・1000の倍数と順に、その番号のついた豆電球のスイッチを入れていく。
果たして、最後の状態では、「明るい」豆電球はいくつあるか?
さて、Ka君が「素数は消えっぱなしだ」ということに気付き、それが大きなヒントとなって、次のように続きを考えていきました。
素数番の電球は、「1の倍数」と言われた時に、まずONで、次に自分自身の数字を言われた時にOFFになり、それっきり消えっぱなしです。
3なら、「1の倍数」と「3の倍数」と言われた時だけ、スイッチが入る機会があり、結果2回、点いて消えるので、消えっぱなし。
これは5でも、7でも、11でもそうです。ここで生徒たちは、「2回」スイッチが入るというのがキャンセルを意味するということに気づきました。
一方、4なら、「1の倍数」と「2の倍数」と「4の倍数」と言われた時、つまり3回スイッチが入ります。点いて、消えて、点くので、点いたまま。
ここで、「3回」というのが、奇数であることにピンときた生徒たちは、次のように考察を進めました。
1)スイッチ2回で消えっぱなしということは、4回でも、6回でも、消えっぱなし。要するに、スイッチが偶数回なら消えっぱなし。
2)スイッチ3回で点きっぱなしということは、5回でも、7回でも、点きっぱなし。要するに、スイッチが奇数回なら点きっぱなし。
3)スイッチの入る回数とは、つまり約数の個数のこと。なので、「約数の個数が偶数か奇数か?」を調べればよい。
4)約数の個数が偶数と奇数と、どちらが多いか?→偶数の方が圧倒的に多い。
5)では、約数の個数が奇数だという数には、どんな数があるか?
実際に最初の方を数えた結果を示します。
1の約数は、1・・・奇数
2の約数は、1と2・・・偶数
3の約数は、1と3・・・偶数
4の約数は、1と2と4・・・奇数
5の約数は、1と5・・・偶数
6の約数は、1と2と3と6・・・偶数
7・・・偶数(1、7)
8・・・偶数(1、2、4、8)
9・・・奇数(1、3、9)
10・・・偶数(1、2、5、10)
11・・・偶数(1、11)
12・・・偶数(1、2、3、4、6、12)
13・・・偶数(1、13)
14・・・偶数(1、2、7、14)
15・・・偶数(1、3、5、15)
16・・・奇数(1、2、4、8、16)
17・・・偶数(1、17)
・・・
このあたりまで数えて、また新たなことに気づきました。ここまでで、約数の個数が奇数になる数は、1と4と9と16です。その数の並びにピンときたのが、Ka君でした。
「二乗の数じゃないか?」
「だから、次は25のはず!」
と。(これまでの授業で、二乗の数については何度も考察したことがあったので、それを思い出してくれました)。
そして、約数の個数が奇数になる原因もすぐにわかりました。
「普通は偶数。でも、二乗の数だけは、たとえば16なら4×4で、1つ重なってる分、偶数-1で、奇数になる」
と。
というわけで、さっそく「二乗の数探し」がはじまりました。
1×1=1
2×2=4
3×3=9
4×4=16
5×5=25
・・・
9×9=81
10×10=100
最初の方は、九九の表で対角線に並ぶ数たちでおなじみです。そして10×10まで含めると、さて、100までの中に、二乗の数は何個隠れていたでしょうか?
そうです。1×1から10×10までカウントしたので、実は考えるまでもなく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10で、10個あった、というわけです。
11個目の二乗の数は、
11×11=121、
そして、144、169、196、225、256・・・と続きます。
(これ自体の数にも法則性があって、100+21=121、121+23=144・・・と、21、23、25、27・・・と規則的に増えています。去年これをKa君とは考察したのですが、その時まだいなかったYu君は素直に「おお、すげー」と驚いてくれました)
ただ、ひたすら具体的に求めていくのは、正直骨が折れます。今は1000までに含まれる二乗の数の「個数」が知りたいのです。では、どうしたらいいでしょうか?
実はそんなに大変なことではありません。そしてそれが考えられることに、算数の算数たるメリットが存在します。
「30×30は?」
と、生徒たちの方から先に言い出してくれました。
そうです。「個数」を知りたいだけであれば、1000になるべく近い数を考えればいいのです。こういうアプローチの仕方は、ちょうどゴルフに似ています。グリーンに乗るまではぎりぎりかっ飛ばして、最後だけパットで丁寧に寄せればいいのです。(Yu君が気付いてくれましたが、以前した2の3乗根の近似値を求める時でも、そういう話があったことを、「なんか似ているなあ」と言っていました)
30×30=900
ということは、
「900までの中には、二乗の数は30個ある」
ということです。
「じゃあ、33×33は?」(ということで計算)
「あ、1089やった。超えてしまったから、じゃあ、32×32は・・・」
「1024。なのでアウト。31×31は・・・」
「961。セーフ。あ、じゃあ、これ以上は、1000を超えてしまうので・・・」
「31個ということ!」
「正解!」
こうして答にたどり着きました。さらに、Yu君、Ka君の方から疑問が浮かび、
「じゃあ、1万までの場合は?」
「100×100だから、100個ということか」
「じゃあ、10万は?」
「ええと、さっきした計算で31×31=961だったから、最低でも310個はあるはず。310×310=96100」
「ということは、320×320は行き過ぎになるから、310~319の間」
「そういうことです。でもその計算の苦労は、さっきと大差ないというのが、またミソです。問題文では1000個の豆電球でしたが、これが仮に100万であっても1億であっても、仕組みが分かってしまえば、ぱっと計算できてしまうのが、算数のすごいところだと思います。もはや手で数えなくても考えられるというのが、人間のすごいところだとも思います」
というわけで、以上のみんなで考えた経緯を、残りの時間、自分の言葉で書いてまとめてもらいました。
ホワイトボードの説明など、目で見て「分かった」ことには揮発性がありますが、自分の頭のフィルターを通して(そのために書いて出力して)「分かった」ことは、不揮発性のものです。1回1回を大事に、ぜひ文章で書くというフィニッシュまで持っていって下さい。楽しみにしています。
“かず6年(0904)” への1件のフィードバック