かず(火曜日クラス)(0709)の問題を解きました。
結論は先手(初期状態で駒を置く番の人)の勝ちです。以下そのことを示します。
準備作業
私の手元には『Quarto!』のセットがありませんので、記号化をします。
直交しているほうが見やすいので、まず初期状態の写真を右へ45°回転します。
そして左の列から順にA, B, C, Dと名づけ、上の行から順にあ、い、う、えと名づけます。今(白、丸、低い、穴なし)が存在しているマスは「Bう」です。
駒については(色、形、高さ、天井)の順でそれぞれ白なら0で赤なら1、丸なら0で四角なら1、高いなら0で低いなら1、穴あきなら0で穴なしなら1と表現します。例えば今置こうとしている(白、丸、高い、穴あき)なら(0, 0, 0, 0)です。右上のマス(Dあ)に置かれている(赤、四角、高い、穴あき)なら(1, 1, 0, 0)です。
そして今(0, 0, 0, 0)を置く番の人を先手、次に駒を動かす相手を後手と呼びます。
以上を図にすると次の通りです。
わかりやすくするために、リーチがかかっているマス(あと1つでそろうマス)には赤字の【】で記入してあります。
一手目
一手目を考えます。リーチがかかっているマス(赤字の【】で記入してあるマス)をよく見ると、第一要素か第二要素が1であれば(つまり赤か四角ならば)そろってしまいます。余り駒を見るとすべてが第一要素か第二要素の少なくとも1つは1です。よってこのリーチがかかっているマスをつぶさなければ負けてしまいます。「Cう」マスをつぶしたとしてもダメだということはかず(火曜日クラス)(0709)の1)で示されているので、「Aえ」マスをつぶすことになります。
先手が 「Aえ」マスに(0, 0, 0, 0)を置いたあとのリーチ具合を赤字で書き込みました。それを見ると第二要素に1、第四要素に0があるとそろってしまうので、必然的に(1, 0, 0, 1)を渡すことになります。
二手目
次は後手の番です。余り駒を見るとすべて第二要素が1なので、「Cう」マスをつぶさなければなりません。
それを置いたあとのリーチ状況を赤字で示してあります。第一要素に1あるいは第四要素に0があるとそろってしまうので、(0, 1, 1, 1)を渡すことになります。
三手目から四手目(1)
余り駒はすべて第一要素に1か第四要素に0があるので、「Cい」マスか「Aい」マスのどちらかはつぶさなければなりません。場合分けの一つ目として「Cい」マスに決めます。
そうするとリーチ具合から(1, 1, 1, 1)を渡すことになります。
四手目の後手は第四要素の0のリーチをつぶすために「Aい」マスに置くしかありませんが、そうすると「Dい」マスの第二要素1でリーチがかかってしまい、どちらの余り駒を渡しても負けてしまいます。
三手目から四手目(2)
場合分けの二つ目として「Aい」マスに置きます。
第一要素に1がある駒を渡すとそろってしまいますので、(0, 1, 0, 0)か(0, 1, 1, 0)を渡すことになります。
四手目の後手はその渡された駒を残り3マスのどこかに置かなければなりませんが、どこに置いたとしても第二要素1でリーチがかかってしまいます。それは先ほど(0, 1, 0, 0)か(0, 1, 1, 0)のどちらの駒を渡されても同じです。そして余り駒は全て第二要素が1なので先手の勝ちとなります。
結論
以上より、両者とも最善を尽くせば、先手の勝ちとなります。
厳密に記述しようとすると結構な分量になってしまいました。実際の対戦ではそこまで考えるわけにはいかないので、感覚で駒を置いていくことになります。
回答者様
福西です。
7/23に御回答を投稿していただいていたことに、1カ月あまりも気が付かず、お返事が大変遅くなって申し訳ありませんでした。精読し、間違いがないことを確認いたしました。アップして下さるにあたり、作表や漏れがないかのチェックなど、相当な時間をかけられたのではないかと思います。そのことに、ただただ貴重な思いがしております。私自身は、4つの要素を持ったコマに対する表現が、平面の表におさまるものとは考えもつきませんでした。熱い回答をお寄せ下さり、心から感謝申し上げます。
以下は、回答を読んでいて、私自身が考えに詰まったところの補足メモとさせていただきます。
お書きくださった「3手目から4手目(1)」のところで、場合分けに入る前の確認事項として、(0,1,1,1)を持たされている先手番は、「Dう」にはそもそも置けないのですね。(置いた後、余り駒の状態から、D列が(×,1,×,×)でそろってしまうから)。
そして、場合分けの最初の一文、「余り駒はすべて第一要素に1か第四要素に0がある」の、「すべて」というのが、「どの余り駒も、(1,×,×,×)か(×,×,×,0)の範疇に入る」という意味ですね。それで了解いたしました。
そうして結論は、三手目から四手目に2通りの変化はあるものの、いずれも(最善を尽くした上で)先手の勝ちになる、と。
このように証明を示して紛れを払っていただいたことで、私も非常にすっきりしました!ありがとうございました。
コメントありがとうございます。やや舌足らずな部分もありましたが伝わったようで何よりです。いい思考訓練になりました。それと同時に記法の重要性を感じました。実際のゲームだと考え漏れが生じやすいですが、このように記号化すると見落としにくくなります。図を見たままのことですが、マス目の振り方は将棋を参考に、駒の記号化は二進法と行列を下敷きにしています。