かず6年(0703,0710)(その2)

福西です。「その1」からの続きです。

豆電球を10個にして、実際に手で確かめてみました。

 

0)最初の状態(●=OFF、○=ON)

①●|②●|③●|④●|⑤●|⑥●|⑦●|⑧●|⑨●|⑩●=結果0

1)1の倍数のスイッチを入れる

①○|②○|③○|④○|⑤○|⑥○|⑦○|⑧○|⑨○|⑩○=結果10

1の倍数は「すべての数」が該当するので、全灯します。

2)2の倍数のスイッチを入れる(2回ONしたところはOFFになります)

①○|②●|③○|④●|⑤○|⑥●|⑦○|⑧●|⑨○|⑩●=結果5

これで今、半分付いている状態になりました。

3)3の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④●|⑤○|⑥○|⑦○|⑧●|⑨●|⑩●=結果4

ここで、生徒たちが気付いたのですが、「3の倍数のスイッチを入れた時、2の倍数から1個しか減らないのではないか?」という発見がありました。確かに前回1000個の時は、2の倍数で500、3の倍数で499でした。これも何か手がかりになるかもしれません。

4)4の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤○|⑥○|⑦○|⑧○|⑨●|⑩●=結果6

今度は2個増えました。

5)5の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥○|⑦○|⑧○|⑨●|⑩○=結果6

変化なし。

ただし、ここでまた、新たな発見がありました。

Ka君が言うには、「①、②、③、④といった古い(小さい)数の豆電球の状態は、この先ずっとこのままで、もう変化しないのではないか?」ということでした。

つまり、「①○|②●|③●|④○」は、もう決定である、と。

それには私も気が付かずにいて、思わず「おお!」とうなりました。

確かに、今5の倍数たちが呼ばれていて、それに該当する豆電球は「ハイ!」となったわけですが、①~④には、もう関係ありません。そしてこの先呼ばれる数が6、7、8、9、10と増えていっても、もはや自分と関係のある数が呼ばれることもありません。それどころか、⑤も次に同じ状況になります。

ということは、つまり、

「豆電球の状態は、小さい数から順番に固定化されていく」

ということです。これは大きな発見です!

これに気をよくした生徒たち二人は、どんどん手を進めていきました。

6)6の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥●|||⑦○|⑧○|⑨●|⑩○=結果5

1個減りました。そして、←|||までが「固定」です。

7)7の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥●|⑦●|||⑧○|⑨●|⑩○=結果4

8)8の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥●|⑦●|⑧●|||⑨●|⑩○=結果3

9)9の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥●|⑦●|⑧●|⑨○|||⑩○=結果4

そして最後に、

10)10の倍数のスイッチを入れる

①○|②●|③●|④○|⑤●|⑥●|⑦●|⑧●|⑨○|⑩●|||=結果3

というわけで、豆電球が10個の場合は、「1、4、9」の3つという結果になりました。

しかもこの結果は、数が増えていっても「固定」なので、豆電球が1000個の場合でも使えます。

頭だけで考えているうちは、いろいろと考え落としがあって、うまくいきません。けれども、そのギャップを埋めるために、こういう「当たり前」なところから始めていくと、なにかしら発見があるものです。要は「手を動かす」という作業がとても大事なのだと、改めて思いました。

 

さて、豆電球が10個の場合は、ついているのは3個だったわけですが、そこから予想してみると、この3というのは、絶対量としての3なのか、あるいは割合としての3なのか、というところで検討が分かれます。つまりこれがもし割合だったなら、100個で30、1000個で300ぐらいかな?と予想されます。

というわけで、次に100個の場合でも考え出しました。

さて、この日はKa君がめちゃくちゃ冴えていて、もう一つのことに気が付きました。

「素数は消えたままではないのか?」

と。

そう言って、実際に2、3、5、7、11、13・・・という数を挙げながら説明してくれました。

「だって、2は、1の倍数の時に1回ついて、そのあと2の倍数の時にもう1回、つまり消える。でも、そのあとはもう2は関係ないし、ずっと消えたままで固定」

「3も、1の倍数でついて、3の倍数の時に消えて、あとはそのまま」

「5も、1の倍数でついて、次にスイッチが入るのが、5の時だから(だって5は素数だから)、ここで消えて、あとはそのまま」

「7も、11も、13も、素数は、結局、1の倍数でついたあとに、スイッチが入るチャンスは、自分自身の数の時だけ。で、自分自身の数を通り過ぎたあとは、ずっと固定。だから、素数は、結局全部消えたままになる!」

おお、確かにそうですね!納得です。

もちろん、Ka君の発見は、1000個のうちの「すべて」、ではないわけですが、ある意味、「素数以外に絞れた」とも言えるわけです。

素数以外、とは、つまり、どういうことでしょうか?

素数でなければ、それは「合成数」ということです。

 

また、素数は奇数でもあるので、ここで偶数について調べれば、「素数以外の奇数に絞れる」ことになります。

あるいは、素数とは、「約数を1と自分自身しか持たない数」なわけですが、合成数とは、「1と自分自身以外にも約数がある数」です。

はて、約数を調べるには、どうしたらよかったでしょうか??

授業では、ここで時間がきてしまい、「夏休みの宿題」ということになりました。

(この時点では、まだ私も答を見つけていなかったので、「どちらが先に答を見つけるか、勝負だ!」と生徒たちと約束し合いました^^)

 

というわけで、素数がアイデアに浮かんできたおかげで、次に「約数」というものがうっすらと視界に入ってきたように思います。

あるいは、「偶数、奇数」というのも、重要なターゲットになってきそうです。

むむむ!?

Ka君、Yu君! これまで学校で習ったことを総動員して、ぶち当たってみてください(^^)

そして、秋学期の最初の授業で、答合せをしましょう!

 

問題(再掲)

豆電球が1000個あり、1~1000まで番号が付いている。

そしてその豆電球にはそれぞれスイッチが付いており、1回スイッチを入れるごとにON、OFFが切り替わる。

ONの時は「明るく」なり、OFFの時は「暗く」なる。

最初は全部の豆電球はOFFの状態である。

以下、1の倍数、2の倍数、3の倍数・・・1000の倍数と順に、その番号のついた豆電球のスイッチを入れていく。

果たして、最後の状態では、「明るい」豆電球はいくつあるか?

 

実際、これは夏休みの自由研究としても、とてもいい問題だと思います。

問題設定自体は、とてもシンプルです。それでいて、分かった時は、すごく嬉しいです!

実は先のKa君の「素数に注目したこと」がヒントになって、私は授業のあとに答が分かったのですが、その時私も「飛び上るくらい」嬉しかったです。『数学には精神に直接的な喜びがある』というのは、このことを指すのだと実感しました。

みなさんもぜひ一度お考えになってみてはいかがでしょうか。

 

(ヒント:豆電球10個で考えた時に、実際に3個ついていたわけですが、すでにある法則性が見えています)