ニックのdeath day partyの続きです。
ニックは自分が話す番だと意気込みますが、首なし騎馬に聴衆の興味をさらわれます。ハリーに自分が怖いと言わせたことも見破られてしまいました。そのような状況で、寒さと飢えもあったのでハリーたちはその場を立ち去りました。
このあたりの場面の描写のしかたは参考になります。元気よく用いられることの多いhere we goが嫌そうに発言されたり、デザートの代表としてpuddingという語が用いられたりしていました。
その帰り道でハリーは再び謎の声を聞きます。その声を追って上の階へと進みます。そして行き着いた先には次のような文字がありました。
THE CHAMBER OF SECRETS HAS BEEN OPENED.
ENEMIES OF THE HEIR, BEWARE.
二文目は「後継者の敵よ、気をつけろ」という意味ですが、後継者は単数で敵は複数です。英語で読むとそういったところに気がつきます。
そしてその文字を照らすたいまつにはネコのミセスノリスがしっぽからぶら下げられていました。ロンの提案でその場を立ち去ろうとしましたが遅すぎました。ハロウィーンパーティーを終えた生徒たちが両側から押し寄せてきました。その中のドラコが顔を上気させてこう言いました。
‘Enemies of the heir, beware! You’ll be next, Mudbloods!’
nextの後にはenemiesが省略されているのでしょうか。そうだとするとドラコは何かを知っているようです。ぱっと読むとハリーたちを罰する口実ができて喜んでいるのかと思いましたが、それだけではなさそうです。
ここから9章のThe Writing on the Wallです。このThe Writing on the Wallには「壁にかかれたもの」という意味のほかに、「不吉な前兆」という意味合いがあるようです。
この騒ぎを聞きつけてフィルチがやってきました。大切なネコのひどい有様を見て、ハリーを殺してやると言います。ちょうどそこへダンブルドア先生たちもやって来て、ともかく事情を詳しく検討することにします。
そのために近くのロックハート先生の部屋に行きます。そこでは写真の中のロックハート先生が髪の手入れをしているところで、あわてて見えないところに隠れました。ロックハート先生はいろいろなことを言いますが、フィルチの鳴き声にさえぎられます。その様子を見ているとハリーもフィルチが気の毒に思えました。
Much as he detested Filch, Harry couldn’t help feeling a bit sorry for him, though not nearly as sorry as he felt for himself.
「ハリーはフィルチのことを大いに嫌っていたのだけれども、少し気の毒に感じずにはいられなかった。といっても自分自身に気の毒だと思うほどではなかったのだけれども」という内容です。二度逆接でひっくり返している印象的な一文です。
フィルチの顔はblotched and tear-stained faceだと描写されていました。blotchedが泣いたせいでできたものなのか、普段の仕事である掃除などでできたものなのか、それとも生まれつきのものなのかということが話題になりました。そのどれかで印象が変わります。
フィルチはハリーが犯人だと強く思っています。というのもKwikspellの手紙を見られたからです。彼はみんなの前で自分がsquibだと告白してまでハリーを追及します。squibというのは魔法使いの両親の元に生まれながらも魔法が使えない人のことを指すのですが、普通の辞書レベルでも(不発の)爆竹や臆病者といった意味があるようです。
スネイプ先生もハリーを疑っているようで、(be) in the wrong place at the wrong timeとして尋問をしようとします。これは「不適切な時に不適切な場所にいる」というのが直訳ですが、一種の決まり文句です。この逆のin the right place at the right timeのほうがよく聞く気もします。
このあたりで今回はおしまいになりました。