0702 英語一般

浅野です。

今学期は英検の準1級をテーマに掲げてきて、受けた後の手応えでは厳しそうとのことでしたが、返却された結果を見せてもらうとあと8点ほど足りないだけでした。また、大学ではたびたびTOEICの練習をするようで、その結果も回を追うごとによくなっていると報告してくれました。国語力があり、英語構文の理解もできているので、あとは語彙力だという当初の見立ては間違っていなかったようです。

ここ数回は”The Japanese Mind”という日本を紹介する本を項目ごとに読み進めています。知らない語がちらほら出てくるけれども大学入試の長文ほど難しくはないとのことです。入試ではわざと難解な箇所を選んできてそこを和訳させたりしますからね。そんな大学入試で出てきそうな文がこの本の今回読んだ項目中にあり、じっくりと考えてくれました。

Living in an information-oriented society, people tend to make more of what they communicate to others than how they do so.

まず冒頭はいわゆる分詞構文ですね。分詞構文は基本的に主節の主語と適当な接続詞を補ってやればよいので、この場合は”When people live in an information-oriented society, …”と理解すればよいです。後半の主節は”make”の働きが気になります。”make+O+C”で「OをCにする」という文型なのかと思いきや、OとCが並んでいる形跡はありません。これは”make much of ~”で「~を重視する」という熟語的表現の”much”が比較級になったものです。では何と何を比べているのかというと、「人々が他人に何を伝達するか」を「彼らがどのようにしてそうするか」、つまり「人々がどのようにして他人に何らかのことを伝達するか」よりも重視するということです。全体を和訳するなら、「情報志向社会で生活していると、人々は他の人たちとどのように意思疎通するかということよりも、何を伝達するかということを重視する傾向にある。」くらいです。

この箇所は英語が理解できても内容が難しいです。伝統的な社会だと人々は何かを伝えるためというよりもその場を和ますために会話をします。「いい天気ですね。」というような会話が典型的で、同じ場所にいるならいい天気なのは相手も当然わかっているはずですから、この発言の情報的な価値はゼロに等しいです。一方、現代のような情報志向社会で多くの情報を処理しないといけないような忙しい人と話すときは、時候のあいさつなどはいいから用件のみを端的に伝えてくれと言われることがあります。これはまさに伝達する内容が大事だということです。何か質問したいことがあるという状況を想像しても、普通はいきなり用件に入りません。しかしインターネットで検索するときはあいさつなどはせずにいきなり調べたい言葉を直接入力します。

本文では上記の文の後に、そのため現代では敬語やその背景にある謙虚さが廃れつつある、と続いていました。その賛否はともかく、英語構文や背景知識をを生かして総合的、実践的に書かれている内容を読み取るのは楽しいことであります。今回で春学期は最後ですが、「楽しかったです」という感想が聞けてうれしかったです。夏休みには語彙を増やすことを頭の片隅に置きつつ、楽しみながらいろいろな英文を読んでもらえたらなと思います。