山下 太郎
英語は基本が大切です。とりわけ中学一年生の勉強が決定的に重要です。この勉強をあいまいにしていては、学年を問わず日々の勉強が重く、しんどく感じられます。
昨年以来、全員に中学1年生用の問題集を徹底的に解いてもらいました。間違えるたびに、辞書を引いていちいち確認していきました。それが功を奏したのでしょうか。今は、2年生の問題集をすいすい仕上げています。めいめいが自分で選んだ問題集を使っていますが、薄い本を選んでも、厚めの本を選んでもそれは自由です。各自が自分でノルマを決め、それを授業時間内にこなしていきます。
私は各自の自習ぶりを見てまわり、きりのよいところで採点し、赤ペンでコメントを書いていきます。あいまいにしておくと後々問題になると思われる間違いについては、一緒に辞書を引いて例文にマークをさせています。単に「辞書を引きなさい」と指示するだけでは駄目で、最初は横について辞書の引き方を一から教える必要があります。これを丁寧にやると、英語に関し「自分で勉強ができる」生徒になり、これを怠ると「自分で勉強をする気がわかない」生徒になります。
英語の勉強は、辞書を丁寧に引くことに加え、やはり地味な文法のドリルが重要です(一斉授業では個々の過ちをあいまいにしたまま先へ進みがちです)。小学生の漢字の書き取りと同じで、やれるときに徹底してやっておかないと、高校に入ってから、勉強の理解に大きなハンディを抱えることになります(逆に、高校生で英語に不安を抱える者は、思い切って中学1年生の勉強からやりなおすべきです)。それはちょうど、「てにをは」があいまいなまま、漢字ばかり覚えても、日本語が理解できないのと同様です。
語彙について言えば、中学の段階でできるだけ積極的に高校レベルの語彙にも親しむべきです。派生語、反意語、単語の成り立ちに留意すれば語彙力は飛躍的に伸ばせます。そして、この習慣は、辞書を面倒がらずに引く中で自ずと会得できるものと思います。そのやる気を引き出すためにも、私自身、英語の語源に話が及ぶときには、率先して大英和辞典を引いてみせ、ときにはギリシア語、ラテン語の辞書も引きながら、英単語の成り立ちの話をするよう務めています。
(2005.7)