第一回は、自己紹介のあと、今後、どのように授業を進めていくかについてお話しさせていただきました。
受講生のお二人は、すでに前任の村田先生から漢文訓読の基礎を習ったとのことでしたので、今回は、それよりちょっと進んだところからのスタートとなりました。
お二人に、これからどういった書物を読んでみたいかをうかがったところ、Iさんは『春秋左氏伝』や『資治通鑑』のような歴史書、Kさんは唐詩や「三国志」のような文学作品と、それぞれに個性が分かれました。
それらの書物を読む準備ができるまでの間、しばらくは『説苑(ぜいえん)』を読んでいくことになりました。
『説苑』は、前漢(BC.206-BC.8)の後期に、皇帝の血を引く万能の天才・劉向がまとめたとされる書物で、たくさんの短い物語(説話)が収録されています。
「君道」、「臣術」など20篇から成るこの書物のうち、私たちが読もうとするのは「復恩(おんがえし)」をテーマにまとめられた一篇です。
2000年前の恩返しは、いったいどのようなものだったのでしょうか。次回から、その一端を探っていくことにしましょう。
木村